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講談社
グループ:Book
ランキング:9285
価格:¥ 1,995
ポイント:19 pt
発売日:2007-11-30
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カスタマーレビュー ![]()
人生の中にあらわれた神の摂理を描く
(2008-11-10)
海軍の航空隊総隊長として真珠湾攻撃を指揮した淵田美津雄中佐(当時)は、その後南雲機動部隊の南方作戦に従事したのち、ミッドウェー海戦で重傷を負い、本土に戻って航空隊の教官となった(本書では、教官になったが教える学生が戦争に行ってしまって誰もいなかったと書き記している)。2年後、連合艦隊航空主席参謀となり大佐に昇格、捷一号作戦(レイテ沖海戦)の作戦起案などに携わった。終戦後はキリスト教に回心し、伝道師として何度も渡米し、多くの人にキリストの福音を伝える働きをし、73歳でその生涯を閉じた。
本書は「その一日のために」「トラトラトラ」「暗転」「帝国の落日」「占領の名の下で」そして「回心」の全6部で構成されている。海軍大将を夢見ていた淵田少年が海軍兵学校に入校し、航空機と出会い、真珠湾攻撃の準備と開戦、旧態依然とした大鑑巨砲主義との内なる戦いを経て敗戦、占領、そして公職追放を経て回心、渡米へと至る人生の歩みを描いたものである。
編者である中田整一氏は「はじめに」で、本書を「戦後日本へ向けた遺書」と位置づけているが、淵田氏と同じ信仰を持つ私が感じたのは、淵田氏はこの自叙伝を、自分の人生の中に働き導きたもうた神を証しするために書いたのだ、ということである。前半は数々の戦場を渡り歩いた淵田氏の目を通して語られる戦記であり、そこには当事者しか知り得ない様々な証言がちりばめられていて非常に面白いのだが、私にとっては後半の、敗戦前後、神の摂理によって生かされている自分を見出し、やがてイエス・キリストに出会って今度はかつて銃口を向けあったかつての敵を訪ねてアメリカを渡り歩く淵田氏の姿に圧倒的な感動を覚えた。先見の明があり、文才にめぐまれた氏の文章は明快で、ところどころに添えられたユーモアに、氏の明るい人間性と冷徹に事実を見つめる目が感じられた。
「どんな世の中になっても、争いはなにも生み出さない。話し合いや触れ合いこそが大切だ。」ということを本書の行間から教えられた。
(2008-10-20)
本書は表題の通り、真珠湾攻撃を航空総隊長として指揮をして成功させ、広島原爆の調査団として落とされた翌日に現地に入り、降伏調印式に出席したというまさに太平洋戦争の節目にすべて関わりを持ち、戦後はなんとキリスト教に改宗して、アメリカを布教に回ったという人物の自叙伝である。
私の関心は、「なぜ、日本軍の中枢にいた著者が戦後一転して、キリスト教に改宗したのか。」である。
これには明確な回答はないが、二つの大きな事件が著者を揺り動かしたように思う。
一つは、広島の悲惨な現場を見たこと。これは見たものにしかわからないというがその一端は本書からも伝わってくる。
もう一つは、傷病捕虜たちから聞いたマーガレット・コヴェルの話である。それは宣教師であった両親がフィリピンで日本軍にスパイと間違われて惨殺されたことを伝え聞いた彼女が、「憎いと思う日本人に憎しみを返すことではない両親の意志はそんなことではない」と悟り、日本の傷病兵に献身を尽くしたという話を聞いたことであろうか。
それにしても、戦後間もない時期のアメリカの懐の深さを感じざるを得ない。
真珠湾の自分が攻撃したアリゾナの未亡人と孤児への祈り、それから10年ほど過ぎた後のこの陸軍士官学校に入ったこの子どもとの再会。
トルーマンが著者に「真珠湾は、両者有罪だよ」と言った話。
何度も手紙を出してようやく会えたアイゼンハワー大統領のとの教会でのひとこま。
マッカーサーとの食事の際の話。
ニミッツ元帥の懐の深さ。
などなどそうそうたる人々とふれあい、そして過去を水に流してまるで友のように語り合う不思議さ。
これは、前半のアメリカ憎しという表現がいたるところに出てくる記述とはまるで別人のようである。
多分、彼は戦争というもの自体を憎み、一方で一時は敵味方であったとしても「同じ人間」ということを身を持って感じ取ったということのように思う。
「どんな世の中になっても、争いはなにも生み出さない。話し合いや触れ合いこそが大切だ。」ということを本書の行間から教えられた。
軍人として、のみではなく淵田さん個人の意見が読める
(2008-05-17)
前線で戦った上級指揮官の手記は初めて読んだ。最前線で戦う"兵士"としての視点のみではなく、大本営の戦略策定に携わる立場にあった"指揮官"としての視点からの各記述には、これまでの戦記とは一線を画すものがある。戦記ものを多く読んできた方にも、新たな視点からの興味を呼び起こさせながら読めると思います。
太平洋戦争を肌で感じることができる一冊
(2008-02-10)
読み終えてまず感じるのは、戦争の臨場感をとても鮮明に感じ取ることができたということ。臨場感といっても、派手な戦い振りのことではなくて、当事者だからこそ誇張なしでどのように対峙してきたかがよくわかった。この手の題名の本は苦手だという人にも是非読んでほしいと思う。そして後半は、キリスト教信者としての活動が書かれているのだが、前半の対比という意味においても、際立って浮かび上がってくるものがある。
単なる戦記ものとの先入観を持たれた方は、期待を裏切られる一冊であり、読み終えた私はあと何度かは読み返してみたいと思っている。
かなり良い出来です
(2007-12-11)
昔、テレビで取り上げられて、息子が自叙伝の草稿を持っていた物を今回、出版したものです。内容は幼少の頃の夢から真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦等と綴られています。後半はキリスト教の伝道者として、自分が牛小屋の近くで生まれたのとキリストが馬小屋で生まれたことをダブらせるあたりはキリスト教信者としては当然でしょうが、感心させられます。戦争では自分がミッドウェーでは虫垂炎に罹り、戦死しなくて済んだ話。山本五十六を凡将扱いするなど面白いです。数奇な運命を辿った、旧海軍軍人そしてキリスト教伝道者。人間、淵田の姿が鮮やかに浮かび上がります。

