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講談社
グループ:Book
ランキング:51228
価格:¥ 987
ポイント:9 pt
発売日:2002-09
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レビュー(Amazon.co.jp)
???一般読者むけに量子論をやさしく解説した本である。都筑卓司が約30年前に著わしたブルーバックス新装版の4冊目になる。本書の元本の出版は1970年である。星飛馬の「消える魔球」や、夏目漱石の小説『三四郎』に出てくる野々宮さん(寺田寅彦がモデルだといわれている)の物理学談義、ウエルズの透明人間、SF戦争などの話題を織り交ぜながら、近代物理学の重要なトピックである量子論の周辺を説明している。
???話はまず、現在の状態を完全に測定できれば未来も完全に予測が可能だというラプラスの世界観(ラプラスの悪魔)から始まる。続いて、光が粒子と波動の両方の性質をもつ話が出てくる。そして、光のエネルギーには単位量があって、それ以上小さく分割することはできないというプランクの量子仮説、その量(プランク定数h)を求める実験へと進む。さらに、計測の際に位置を決めようとすれば速度があいまいになり、速度を決めようとすれば位置が不正確になることから、ラプラスの因果律にもとづく決定論的世界観を否定する話になる。また、計測するという行為そのものが、計測の対象の状態に影響を及ぼすことから、ハイゼンベルグの不確定性原理が出てくる。これが本書の書名でもある。
???ノーベル物理学賞受賞者たちの業績を、湯川秀樹博士の中間子論も含めて、多数紹介している。ヘリウムは絶対零度でも凍らず、液体としてわずかながら運動をしていることも、古典的な物理学によるイメージを変えた。最後に、放射性元素の入った容器の中に閉じ込めた猫について、2分の1の確率で放射されるアルファ粒子が出れば死に、出なければ生きている装置になっているとき、その生死は生と死の状態を半々にもったものだ、というシュレーディンガーの猫の話題を取り上げている。
???本来は複雑な数式を用いて説明する内容を、日常的なことばでわかりやすく、縦書きの本の中で解説しようとした著者の努力が結実した1冊だといえよう。(有澤 誠)
カスタマーレビュー ![]()
肝心な部分が抜け落ちている気がする
(2007-11-17)
この本のいい部分については、他のレビュワーさんの方々が述べているので、ここではよくないと思った部分について書く。
「実は両方の(位置と速度との)ボヤケぐあいの間にはある関係があって、極端にいえば、位置をピタリとはっきりさせようとすると、速度はゼロから無限大の間で不確定となる。」(p102〜103)
しかし、この「不確定」というのは「人間が測ることができない」というだけであって、「実際に速度が決まっていない」かどうかはこれまでの話じゃわからない。
しかし続けて
「このことは、速度はその間である一つの値をもっているのだがわれわれにはわからない、と考えてはいけない。電子がその間で一つの速度値を持っている、という保障自体何もないからである。正確な速度は神さまさえもご存じなかろう。
電子はそのとき速度はゼロかもしれないし、無限大かもしれないし・・・・・・というのではなく、これまでの話の様子ではどうやらゼロであると同時に無限大でもあり、ゼロであると同時に一でも一〇〇〇でもその他あらゆる速さを持つ・・・・・・という妙なことであるらしい」(p103)
いや、だから「なぜ」そういえるのか、が知りたいんじゃないですか。「保証がない」からといって「それが誤りである」と証明されたわけでもないのに・・・
ということで、不確定性原理の非常に重要な部分が抜け落ちている気がする。
世の中が不確定であることを知る一冊
(2006-01-23)
「位置と運動量を同時に正確に測ることは不可能である」という現代物理の柱となる原理がある。それが不確定性原理である。本書はこの不確定性原理とそれにまつわる話を分かりやすく解説した本である。
内容は、「巨人の星の消える魔球は不確定性原理を用いたものだ」という話から始まり、ラプラスの悪魔という古典物理の考え方を語り、本題である不確定性原理及び現代物理の基礎的な話と進んでいく。そして、最後に太平洋戦争のことが書かれて終わる。解説は大変分かりやすく、たとえ話も面白い。本書の原著は30年前ぐらいに書かれたもので、内容もその当時と変わっていないらしい。しかし、30年の歳月を感じさせない面白さが本書にはある。まさに時代を超えた名著である。
最後に、著者である都築先生はすでにお亡くなりになったらしい。都築先生のように戦争を体験された方が段々と少なくなっているんだなぁ…と実感する本でもあった。著者の冥福を祈りたい。
たぶんもっとも親切な量子力学の本
(2005-07-27)
量子力学の中心的な概念である不確定性原理についてわかりやすく説明した本です。わかりやすいと言ってもさすがに限度があり、誰にでも即座に理解できるというような内容ではありません。若干だが数式も使われています。しかし、数式を出すことによってむしろ理解が具体的になるという面もあり、この本ではむしろ数式がメリットとして機能しているように思います。
私はこれまでに何冊か量子力学についての本を読み、その度にわかったようなわからないような気分になったのですが、この本を読んだ後が一番頭がすっきりしたような気がします。ただ、2002年に出た新装版とは言え、中身は1970年の初版と同じなので、その後の学説の進展には触れられていないのが残念です。
SFか?科学か?
(2005-06-18)
文系の僕にとってはほとんど縁がなかった量子力学の世界。
ラプラスの悪魔、不確定性原理、シュレーディンガーの猫、トンネル効果・・・物質の位置や運動は「確率的に」しか計測できない。量子はこちらにもあちらにも同時に存在している。
SF作品の中でしかお目にかからなかった、頭が痛くなりそうなこれらのテーマを「消える魔球」や「忍術」「透明人間」「突然出現する艦隊」などの分かりやすいたとえを使って説明してくれます。こんなことが本当に起きているなんて、すごく衝撃的です。
興味深いのは、「ラプラスの悪魔」に象徴される決定論(初期状態が分かれば、人間の運命も含めすべてのものの未来は予測できる。)の否定が量子力学の大きな成果として紹介されていること。僕たちの運命は決して既に決められているものではない、ということが最先端理論科学でも支えられているということに安心感を感じます。
難しい量子力学の世界を分かりやすく、また、興味深く説明してくれる本書は、数式大嫌いな僕のような文系の方でも楽しめる名著です。
十代の読者に薦める。
(2005-02-11)
私は、都筑卓司氏の本の大ファンである。私が中学一年生だった1969年に、同じくブルーバックスから出版された都筑氏の「四次元の世界」を同級生に勧められて読んだ時、もちろん、全ては理解出来無かったが、その面白さに夢中に成ったのが切っ掛けで、以来、都筑氏の本を読みまくって来た。都筑氏の本は、物理学の色々な考え方を直感的に理解させる表現力が、抜群に優れてゐる事が、特徴である。「不確定性原理」は中学二年生だった1970年に、「四次元の世界」(ブルーバックス)の著者の本だったので、本屋で見つけて、直ちに買った記憶が有る。そして、読み始めたら、その面白さに夢中に成った事が忘れられない。本の終はりの方は、高等数学のオンパレードだったので、流石(さすが)に全く歯が立たなかったが、前半は、中学二年生でも十分理解出来たのだから、都筑氏の表現力は凄いと言ふ他は無い。一例だが、観測とは、既に対象と成る現象への干渉である事を、テレビに出るとコチコチに成る人の例などで説明する都筑氏の表現力、説明力は、天才的な物である。中学生、高校生にお勧めする。(この本の全てを理解する事は出来無い筈だが、前半は、絶対に分かる。)十代にこう言ふ本に出会えた私は幸運だった。その幸運を今の十代の皆さんは、私と共有して欲しい。

