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講談社
グループ:Book
ランキング:1399
価格:¥ 945
発売日:2007-11-21
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死因不明98%
(2008-11-24)
この本では、日本の解剖率が2%しかないこと、それにより死因不明が死者の98%にもなることについての
説明がなされ、それが厚生省の失策のせいでこのように解剖率が低くなったことが書かれています。
そして、その解決策として死体の画像診断(Ai)を行うことにより、すべての死者に対して解剖を行うことよりもはるかに
負担の少ない方法で死因がわかるという解決方法を提起しています。
Aiについての解説と、日本の医療問題についての解説があり、医療問題に関心のある方の一読をお勧めします。
また、同じ著者のフィクションに登場する新聞記者「別宮葉子」と厚生省のキャリア官僚「白鳥圭輔」が登場し解説を加える
章が1章おきに書かれており、小説のファンの方には読みやすくなっていると思います。
厚生労働省キャリアに無理矢理読ませたい一冊
(2008-10-12)
2007年11月20日リリース。帯には『チーム・バチスタの栄光はこの本を書くために生まれた!』とある。確かに『チーム・バチスタ・・・』に登場する『Ai』の必要性を論破した一冊である。論破しているのがロジカルモンスター白鳥なのが面白い。講談社ブルー・バックスでフィクションの中の人物が語る本は本書が初めてらしい。
多くの図・写真・表を用意し、ロジカルモンスター白鳥をも凌駕する筆者の論理展開がスゴイ。まずは法律自体の矛盾を論破し、次に厚生労働省の意図的な『不作為』を論破し、軽くマスコミの不勉強をつつき、死体解剖における日本の体制不備の原因を追及する。そしてその上で、『Ai・・・オートプシー・イメージング Autopsy imaging(死亡時画像(病理)診断)』の重要性と医療制度への導入の有用性と合理性を説く。資料は筆者の母校である千葉大学医学部の後ろ盾もあり、実に適切だ。厚生労働省は何ら反論できないだろう。
この本にも出てくるが、マイケル・ムーアの『シッコ』が痛烈に批判しているアメリカの医療制度に日本の医療も向かっているような気がしてならない。厚生労働省自体が年金問題にしても医療制度にしても余りにもお粗末で、霞ヶ関自体を何とかしないと法律の改正もままならないのが感じられる。この本を読んでいちばん思うのは厚生労働省の不作為と一部『識者』の無能力を放置することはもうできない、ということだ。『死因』だけでなく『年金』も『後期医療』もみんなめちゃくちゃだ。こういう国は世界中で日本ただ一つだと思うのはぼくだけだろうか。
救いなのはただ一つMRIやCT設備が世界で一番日本にはある、という一点だけだ。それを生かさない理由などないだろう。厚生労働省キャリアに無理矢理読ませたい一冊である。
臨床現場の曖昧
(2008-07-21)
1.医学部を卒業して医者になる。
2.患者を担当する。
3.診断・治療を行う。
4.担当した患者さんが亡くなる。
5.死因を究明する。
6.最善の医療ができたのか反省する。
臨床医は2−6を繰り返しているわけです。
卒業して間もない時は5や6がズッシリとのしかかって来ますが、
2−6を繰り返していると、だんだん5・6が疎(おろそ)かになります。
疎かになった指導医に教わった研修医が疎かになるもの時間の問題です。
本書は社会的・文化的・宗教的背景と相まって「死因」を曖昧にしてきた
臨床の「虚」を突く1冊と言えるでしょう。
誠実に臨床を行い、誠実に患者さんの死と向き合うほど、
どの1人の死も無駄にできないという思いは募ります。
それを科学的に実現できる手段(AI)はあります。
しかし、問題はやはり「金」(財源)なのでしょうね。
エンターテイメント(楽)には大枚をはたくが、
病気や死・死因究明(苦)には金をかけたくない
という「風潮」をどうにかせねばならないでしょう。
著者の主張がよく分かります
(2008-05-06)
要点以下の通り
○死因解明のため解剖がなされるのは遺体の2%台。それほど少ないのは、遺族が遺体損壊を嫌う、忙しい医師にとって手間と時間がかかる、費用も出ない等
○日本における年間死亡者は100万人くらい。そのうち交通事故を除く変死体が15万体。このうち司法解剖、行政解剖されるのがそれぞれ5000体、8500体、で解剖率9%。これでは、死因不明のまま闇に葬られるのが沢山でてくる。
○解剖には4つの種類がある。強制力のある(1)司法解剖(2)監察医による行政解剖(5大都市にしか監察医はいない)、強制力がなく遺族の同意が必要な(3)通常の行政解剖(4)病理解剖
○死亡の診断には検案(体の外面からの判断で体表検査)と解剖がある。検視とは検事・警官が行う体表検査、検案(=検死)は医師が行う。
○著者の提案は、死因不明社会をなくしたり、また死体等の画像、解剖結果のデータベースを増やして正しい死因や治療効果を把握することで医療の向上に寄与するAi(autopsy imaging)が是非必要とするもの。AiはMRIやヘリカルCT超音波などによる死体画像で遺族の抵抗感や病院の負担、手間が小さい。
○死因究明のため死亡時医学検索という概念を導入し、検案⇒Ai⇒解剖という流れにする。Aiまでは全遺体に対して行い、解剖は必要な数、部位に絞り込む。
○厚労省や医学会のお偉方はAi導入に反対だったが、やっと千葉大学医学部にAiセンターが設置され、医学界にも賛同する者が増えてきた。
面白い!
(2008-04-23)
autopsy imaging(Ai)すなわち死後の画像診断に関して書かれた本である。
剖検(解剖)率の低下は日本のシステムの問題、すなわち厚労省の怠慢のためであると喝破している。
死因をきちんと調べることは個人の権利を守ることにつながる。
世界一CT/MRIが普及している日本ではまさにAiは今後の死因解明に最適な方法で、現在進んでいる医療事故調査委員会のあり方にもかかわって生くる検査といえる。
病理学会、法医学会の対立、厚労省の不作為などさすが著者の筆力は確かである。
重たいテーマであるが面白く読めた。お勧めである。

