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講談社
グループ:Book
ランキング:15848
価格:¥ 1,155
ポイント:11 pt
発売日:2008-05
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理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)
カスタマーレビュー ![]()
この内容で真に満足する読者はいるのか
(2008-11-02)
物足りない。
これが読後の正直な感想です。
『解釈問題』の名を冠したタイトルですが,副題にある通り,主に扱っているのは多世界解釈と呼ばれる物です。
本書には,「多世界解釈の現在の考え方の紹介本」「解釈問題の本質や歴史的経緯の解説本」「量子論の不思議な小話集」と,幾つもの顔がありますが,正直どれもこれも中途半端な印象です。初学者・専門家,何れを対象にした場合でも説明が不足していると感じる記述が多々ありました。自分も量子論のこの問題に関しては学生時代に少なからず触れたのですが,本書を読んでいて“もうちょっと詳しく説明してくれたらなぁ”と思った個所は少なくないです。
また,数式を使わずに量子論の説明をするのは非常に困難で,この手の解説本では様々な比喩表現に頼るのが常となっており本書も例外ではないのですが,誤解を招きかねない非常に危険なアナロジーが幾つかあったのが気に掛かりました。
ただ,多世界解釈の(ひいては量子論の)一番の問題がやはり「確率の導出」にあるという事を現役研究者の著書で再確認する事が出来て,個人的にはある意味ちょっと ホッ としました。
自分はもうこの手の勉強を本気でする事は恐らく無いと思いますが,やはりどうしようもなく“面白い問題”です。「今後もちょくちょくトピックを覗いてみようかな」と,改めてそんな気にさせてくれた点に関しては本書にとても感謝しています。
本書にがっかりしたというより、多世界解釈にがっかりさせられた。
(2008-10-19)
エディントンの日食観測隊が一般相対性理論の予測通り重力場によって光線が曲がる事実を確かめたとの報に学界はもちろん世界が沸き立っていた頃、ひとりの学生がアインシュタインにこう尋ねた。「もし光の曲がりが観測されていなかったら先生はどう思ったでしょうか。」アインシュタインはこう答えたそうである。「神を哀れに思ったと思うね。何故なら理論は正しいのだから。」自らの理論の美しさゆえに、理論の正しさに彼は微塵も疑いを持っていなかったらしい。
思うに、量子力学創始以来の波動関数収縮問題に対する「多世界解釈」に関してこう言いたくなる。「もし多世界解釈が正しいと判明したのなら神を哀れに思うだろう。」多世界解釈はこの宇宙の真実の姿としてはあまりに美しくない。実に面白みのないもののように思えてならない。ナンセンスギリギリの途方もなさという点では、時間の遅れ、時空の曲がり、波と粒子の二重性といった事実の途方もなさといい勝負ではありますが、多世界解釈には偉大な科学理論としてひとを魅惑するような何かが備わっていない気がするのです。
多世界解釈の言うとおり「他の無数の世界に無数のもう一人の自分がいる」のであれば確かに驚天動地のことであり、それこそ人類史上最大の宇宙観の革命かもしれません。八十年前に完成された理論の孕む意味がそんな途方もない内容であれば多世界解釈が長きに渡って支持されてこなかったのも当然。しかしながら、それでもその宇宙観にはワクワクするものが全くない。量子力学の確率的性格自体を断じて自然の根底的事実としては認めず量子力学の理論的不完全性を信じていたアインシュタインが彼の没後のアスペの実験などの展開を知ったら考えを改めたのかどうかはわかりませんが、多世界解釈を審美的な観点から拒否するに違いない。
本書の叙述も正直分かりやすいとは言えない。専門的過ぎるからというよりも例え話が複雑でかえって理解困難になっているという意味。著者は分かりやすくしてるつもりなんでしょうけどね(笑)本書から得られた有益な情報は、アスペの実験をさらに発展させた実に巧妙な実験により多世界解釈に有利な証拠が見つかったという最新の動向に関して。僕は多世界解釈は絶対に正しいとは信じないので観測問題の謎はいっそう深まったと判断したいと思います。
明晰な視点と解説
(2008-10-17)
訳者和田純夫氏の『シュレディンガーの猫がいっぱい』を読んで、多世界解釈がやはり最もわかりやすく論理的(というのは結構くせ者だが)と思えた。
本書はそれをさらに詳しく説明しているが、量子論の様々な解釈を広く見渡し、非常に明晰な分析をくわえていて、類書の中でもわかりやすさという点でピカイチではないかと思う(といいながら、私にはついて行けない箇所がいくつもあったけれど)。
純然たる入門書ではないので、少なくともエンタングルメントとはどんなことか、ぐらいの知識を持っていないと話について行けないだろう。
もうひとつ、和田氏の翻訳者としての力量についても素晴らしいと言っておきたい。量子論関係の翻訳書も多いが、日本語のクセが鼻につく訳者もいて、手放しでほめられる書物は少ない。その点、この問題の専門家でもある和田氏の翻訳は日本語表現という点から見ても非常に優れていると思う。
僕は死なない
(2008-07-06)
昔、量子論の多世界解釈を最初に読んだとき。
「これが事実なら僕は死なないんじゃないか?」
と思いました。
どうも、この本に書かれたとおりそれが主観的事実(?)のように思えてきました。
この本も読むのに苦労しましたが、知的興奮に満ちた良書です。
「たまにこうした本を読んで、気分を変えてみる」という効果はありました
(2008-06-17)
なんといいましょうか、単に興味本意でブルーバックスぐらいのレベルの本を時々読んでは、「こんな考え方もあるんか」と驚きあきれることを1年に数回やっている身にとっては、「よくわかんないけどスゴイことを考えている人たちが世の中にはいるもんだ」ということにつきるか、と。
EPRのパラドックスの問題に関して伝統的なコペンハーゲン解釈で「波動関数の収縮」として扱う現象は、多世界解釈では「干渉性(コヒーレンス)の喪失」として扱われるそうですが、なんと、著者によると、物理学の世界ではこの多世界解釈を支持する意見が多数を占めるとか。
多世界解釈の創始者エヴェレットの説をさらに先鋭化させたドイチの多世界解釈を、よく理解するまでには至りませんが、日本語で簡単に読ませていただいたのはラッキーかな、と。
個人的には、といいますか、理解の及ぶ範囲といいますか、知ってる範囲では、ファインマンさんが「量子力学の精髄」と呼んだ二重スリット実験の解釈に関してはガイド波の存在を考慮した解釈がわかりやすいんじゃないかと思っていましたが、なんでも、著者によれば下火だそうですが…。

