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講談社
グループ:Book
ランキング:50240
価格:¥ 1,575
ポイント:15 pt
発売日:2002-01
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愛と経済のロゴス―カイエ・ソバージュ〈3〉 (講談社選書メチエ)
レビュー(Amazon.co.jp)
???著者の講義録が全5冊のシリーズとしてまとめられた。その1冊目である本書は、神話を手がかりとして、原初の人類が抱いた宇宙観、自然観を探る。大学での講義がもとになっているため、奥深い内容ながら叙述は平易で、ときおり教場ならではのユーモアさえ交えられる。神話学入門として格好の1冊だろう。
???国家や一神教が発生する以前、はるか旧石器時代の昔から、人は世界や生命について深い思索をめぐらせてきた。その結果生まれた神話こそ、「はじまりの哲学」と呼ぶべき知恵のかたまりであり、これを研究することが人類の原点を知る糸口になるのだ。
???本書の大半を費やして分析されるのはシンデレラ伝説である。この物語に似た伝承は世界中に分布しており、実に多くの神話的要素が含まれているという。著者は最も有名なシャルル・ペロー版をグリム版と比較することからはじめ、ポルトガルやロシア、9世紀の中国にまで広がる類似説話を検証、シンデレラが生者と死者を仲介する存在だといった隠れたメッセージを次々にあぶりだしていく。舞踏会のおり片方の靴を落とす、というような一見何気ない点にさえ重要な意味づけがあり、ギリシャ悲劇のオイディプス伝説にまでつながっていくのだ。
???こうした神話解読は、それ自体きわめてスリリングな知的体験だが、決して現代と切り離された学問ではない。神話は常に現実とのかかわりによって生まれ、語られてきた。バーチャル文化全盛のいま、著者はアニメーションやCGを駆使して表現される物語群に形骸だけの神話的性格を感じ取り、警鐘を鳴らす。リアルな現実を生きるためにこそ、神話は解き明かされるべきなのだ、と。(大滝浩太郎)
カスタマーレビュー ![]()
前半危うく挫折したけど
(2008-07-18)
読みはじめた時は、なんだか
論理の展開がスムーズではなく
投げっぱなしの感覚が否めず、
いまいち本の中に溶け込めず楽しめなかった。
しかし、読み進めて行くうちに
この本が読者をどこに連れて行くのか興味を抱きはじめ
最後にはすっかり神話的思考に惹かれていた。
前半がかったるいので☆3つ。
かったる過ぎて、危うく挫折した。
シンデレラ神話の非対称性
(2008-04-13)
人類最古の哲学としての神話の中でも南方熊楠が中国にその最古の原型を発見していた全世界に広がるシンデレラ神話。それは豆や鳥という男性性/女性性、生/死の二元的世界を媒介する両義的な役割を果たす動植物を主材にした、何と云っても不幸な孤児が王子と結婚するという一見非対称な物語である。しかし、その原型を辿っていくとその非対称性は残酷とか本当は恐ろしいと言わねばならないほど極限まで非対称的であった。容姿端麗な貴族の継姉たちは不幸のどん底にたたき落とされるのである。しかし、これは過去の贅沢からすれば、生の総体として、幸福の絶対量として平等だ、ということになるかもしれない。シンデレラ物語のハッピーエンドは時間を遡ることで、つまりは歴史においてこそ対称的なのではないか。不幸者が不幸のまま死ぬのと、幸福な者が不幸になって死ぬのとどちらが不幸か、という問いにおいてシンデレラ神話は前者の立場を採っている。
しかし、これは不幸者も救われるだけでなく、対称性は構造的である以上に歴史的であることで幸福者も不幸になり得ることの警鐘としても読めるということになるのかもしれない。ここに初源の神も悪魔もろくに登場しはしない、構造主義的無神論にも聞こえるが、二元論によって二元論内部を往還しそれを乗り越えようという神話的思考の最も深い豊饒な部分が体現されていることだけははっきりしているようである。
全くの素人読者の正直な感想としては
(2007-12-19)
シンデレラのネイティブアメリカンバージョンは教えて頂けて嬉しかったです。ラストなどなんとも言えない神聖感があって素晴らしい。「神話学」は全くの素人で中沢新一さんの著書も初めて手にした者ですが、石つぶてが飛ぶだろうことは覚悟の上で、こういう「言いっぱなし」は果たして学問なのだろうか、というドヨドヨ感がずっとありました。カール・ポッパーの真似っ子をして言うと、「falsifiability」的にどうなんだろうと。夢があっていいですけれど、科学でないものに科学的な権威を持たせようという雰囲気、その為に持ち出される欧米人の学者名と横文字の用語、と個人的にいささか居心地悪く感じる要素の多い一冊だった、というのが正直な感想。作家さんや漫画家さんなどと相性が良さそうな世界ですし、河合隼雄さんなどとも合いそう。ユングは面白いですが「学問」でありませんし。中沢新一さんがこういう分野の方だと分かったのは収穫だったかもしれません。
神話に目的があったとは
(2007-06-20)
子供の頃に祖母に聞いた数々の神話には、ある共通のメッセージがあり、それが国を超えて流布されている、というところから本書は始まります。誰にでもおなじみのシンデレラも、童話ではなく神話であり、それがほとんど同じ内容で中国にも存在することに大いに驚きました。これら神話が伝えようとしているメッセージは、「人間と自然界との対称性」であり、それこそが人間が最初に考え出した哲学であると著者は訴えます。
神話がここまで奥深いもので、現代に生きる我々の思想に密接に関連しているとは全く思ってもみなかったので、読後はその新鮮さに興奮しました。
人間の思考の原点にさかのぼるための小旅行
(2007-05-19)
ビジネスの世界で、ロジカルシンキングへの偏重の反省から、「ハイ・コンセプト」などの右脳思考(と乱暴に呼んでしまいますが)へと向かっています。その根本には、「人間にとって自然な思考の動き」があるということなんだと思っています。
そうした思考の方法論を学ぶためには、二つの方法があると感じています。ひとつは、神話に学ぶという方法。そのための導入としては、この本は本当に入りやすい。神話に働いている「理性」は、ロジカルシンキングで扱われる「理性」とは異質です。ひとことでいうなら、前者は複雑な関係性を「圧縮」する思考。後者は、複雑な関係性を排除して「単純化」する思考。複雑系が注目される時代になって、前者の「複雑系をいかに圧縮して扱いやすくするのか」という方法論が、どんどん重要になっていくように思います。
神話においては、「時間」と「空間」と「関係性」が短いストーリーへと圧縮されます。そしてそれは、本質的なものであるために、空間を超えて語り継がれていく。その例としてシンデレラをあげます。ビジネスの視点でいけば、これはブランディングの話と裏表の話でもあります。
もうひとつ、右脳思考の方法論を取り出すための分野は、脳科学の世界。茂木健一郎さんの著書などを合わせて読むと、何かが見えてくるように感じます。

