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講談社
グループ:Book
ランキング:58377
価格:¥ 1,785
ポイント:17 pt
発売日:2004-02-11
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レビュー(Amazon.co.jp)
???なにかに区切りがつくときというのは、達成感とともに一抹の寂しさが湧いてくるものだ。全5冊にわたるシリーズの完結ともなれば、なおさらだろう。「超越的なもの」をめぐる人類の思索史カイエ・ソバージュ。その最終巻である本書では、これまで重ねてきた考察を踏まえ、来たるべき時代の思想を模索する。
???かつて世界は人間と動物、個人と全体を区別することのない「対称性」の思考に彩られていた。そこでは支配 ― 被支配の隔てもなく、死と生の間にすら決定的な差異は認められていなかった。ところが、国家や一神教に象徴される「非対称性」の力が世のすみずみまで行きわたった結果、あらゆるところで深刻ないきづまりが生じているのだ。人類の本質が「対称性」にあるため、「非対称性」の社会では必然的に閉塞へ追い込まれていくのである。
???とはいえ、今さら国家のない時代に戻ることなどできるはずもない。そこで示されるヒントのひとつが仏教である。じつは、仏教こそ対称性を極限まで磨きあげた思想なのだ。ここでは人間と動物は同じ「有情(うじょう)」(意識のある存在)であり、輪廻の輪の一部にすぎない。ゆえに、人は自然に対して倫理的にふるまうのである。こうした認識こそが、一神教型の世界を乗り越える原動力になるのではないか、と本書はいう。むろん、これはあくまで一つの理想型であるが、このように、ただ現状を分析するだけでなく、「ならば、どうしたらいいか」というところにまで踏み込む逞(たくま)しさが、中沢新一の魅力だろう。
???著者もいうように、「対称性」を回復する試みはいままさに始まったばかりである。むしろ、スタートラインに立つためにこそ、この長いシリーズは語られてきたのかもしれない。知の冒険はこれからも果てなくつづいていく。だからこそ、講義の最後に発せられた「また会いましょう」という一言がいっそう感動的に響くのである。(大滝浩太郎)
カスタマーレビュー ![]()
過去から未来へ
(2007-07-03)
対称性について語り続けてきたこのシリーズも本書で完了となります。本書では、対称性が薄れてしまった結果生じている様々な問題を、仏教を軸にして解決する道を提起しています。仏教が語るエッセンスは、現代社会でやかましく言われている、「コンプライアンス(法律遵守)」ではなく、「エチックス(人間としての倫理・道徳)」であり、ここにこそ現代社会の諸問題を解決させるキーがあると著者は訴えます。
著者がここまで仏教に詳しいとも思いませんでしたし、最後の結びが仏教であったとは全く予想もしなかったため、vわず唸ってしまいました。
これだけのロジックを振り回しているのに、全編を通して十分抑揚が聞いた語り口を維持する著者の姿勢に大いに共感しました。
わくわくしながら読んだ
(2006-09-21)
読みながら、つくづく面白い本だなあと思ったのは初めての経験かも知れない。
第5巻である本書だけを読んだが、前4巻を読まずにいきなり読んでもすんなりわかる。それぐらい平易な書き方をされている。それでいて内容は深い。
すべての人が読んで納得するかどうかはわからないが、とりあえず、読まずにおくのはもったいない、そういう本だと思う。
おもしろい!
(2005-12-25)
中沢新一の真骨頂! 華麗なる知的アクロバティックの世界。横断性思考の精髄を、ウィットにとんだ口調で染め上げる珠玉の講義録。中沢は「戯れの人」ではない。中沢を敬遠しつづけてきた人にこそ薦めたい。極めて論理的で見通しの良い構成なので、読みやすい本に仕上がっている。
別の本を買いなさい
(2005-11-29)
最初の感想は、何やらよくわからん本だな、というものだった。インディアンやアマゾンの少数民族の話なんて知らないし、知人に禅僧はいるが、バタイユやハイデガーについて深く勉強したこともない。論理飛躍や説明不足ならいくらでも指摘できるが、講義録なのかエッセー仕立てなのか、学術理論書という体裁をとらないためにそういうツッコミをいれるのも何となくはばかられる。
全て計算済みなんだろうね。常人では到底及ばない広汎なトピックを用意し、それらを巧みに組み合わせて「何か、すごそう」な印象を与える。例え読者が医者だろうが弁護士だろうが、インディアンや仏教の話なら説得できる(批判を受けない)というわけだ。本書は批判的な読み方をさせないように読者を誘導する。あの教祖もこうやって多くの信者を獲得したのだろう。現代社会=資本主義批判や、日本人受けしそうな「多神教礼讃」もしっかり入っている。現在のテロ戦争=非対称戦争だから、自らの「対称性思考」は正しい、と著者は確信するそうだが、全く意味不明だ。
ぶっとぶ
(2005-10-19)
あまりにすごいので二回読んだ。で、会社の人に話したら、借りたいって。こんな本借りる人がいてなんか嬉しい。
著者紹介のところには、宗教学者、思想家。とある。思想家を名乗る人が、現代の日本でどれだけいるだろうか。だからか、文章は学者っぽくない。もっとずーーっと熱っぽい。けど、その博学ぶりはそこらの学者を遥かに凌駕していると思う。橋本治は『二十世紀』の中で、1969年に思想の時代が終わりを告げたと書いているけど、(そしてそれは説得力があったけど)中沢さんの本を読むと、まだ思想に力が、マスは動かすことはできなくても個人を動かすことのできる力はあるのだと感じる。そして21世紀は個人の時代だったりする。
本当にいろいろなことを論じている。たとえば、「道徳」と「倫理」について。アリストテレス的な「論理」からは「道徳」が生まれる。それは、例えば非対称的な存在、ヤハウェから人類に与えられる一方的な規律である。一方、倫理は、もっと対称的な考え方に基づいている。普通の「論理」には従わないのだ。神話の時代の人類たちは、動物の遺体を慎重に「倫理的に」扱い、どんな器官でもおろそかにはしなかった。
「このような行動を支えているのは、人間と動物のあいだに対称性の関係を打ち立てて、両者のあいだに贈与関係をなりたたせる対称性の論理にほかなりません。この行動はまぎれもなく、動物に対する人間の倫理的な態度をあらわしていますが、その行動の理由を説明できるのは対称性の論理でしかないのです。」
こんなテンションで、話題はどんどん変わっていく。一貫して扱われているのは、「対称性の論理」。対立するのは「普通の、アリストテレス型の論理」。いわゆる、Aが成り立てば、非Aは成り立たないっていうやつだ。排中律とかいうんだと思う。けど、たとえば、中沢さんが言っているように、幸せを感じるときというのは、自分と周囲の全体が一致していると感じるようなときだ。こんなのって「普通の論理」ではありえないことなんだけど。

