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アイテム詳細

竹田 青嗣
西 研

講談社

グループ:Book

ランキング:52780

価格:¥ 1,785

ポイント:17 pt

発売日:2007-12-11

通常4〜6日以内に発送

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カスタマーレビュー

『精神現象学』の一つの読み方  (2008-03-27)
本書はヘーゲルの『精神現象学』の一つの読み方を提示したものです。
竹田・西の両氏は当初はヘーゲルに批判的でした。
しかし、『精神現象学』を改めて読み込んだ結果、
ヘーゲル的な思想の観点と方法が他の思想
(近代実証主義、マルクス主義、分析哲学、ポスト・モダニズム思想など)
の限界に対する批判となっていることに気付きました(4頁)。
この可能性を活かす目的で難解な『精神現象学』の解読を試みたとしています。
例えば『精神現象学』の読み方として、「歴史解釈」と「個人の意識の展開の仕方」の二つがあると述べています(53頁)。

『精神現象学』の読みがメインとなっているため、
踏み込んだ議論が抑制されている感じがしました。
例えば、「家族員の埋葬」(168-169頁)に関しては
「人間の掟」と「神々の掟」の衝突の記述にとどまっていますが、
もっと踏み込んで死者を埋葬する主体に関する議論も見せてほしかったです(例、靖国問題)。
それから、内容自体に影響はありませんが、誤字・脱字が多く見られたのが残念でした。

近代は既存の共同体と伝統の価値観を破壊する。
同時に、人間の自由な表現の営みの中で、真実なものへの思いを育てていく可能性をもたらす。
これはヘーゲルの近代に対する診断です(145-146頁)。
表現の営みとは他者からの批評と承認を含んだ行為であり、
普遍性を備えた「ほんもの」を目指して作ることです(320頁他)。
つまり、表現の営みは「ほんものはない」や「仕方ない」など
昨今蔓延する「無抵抗的現実主義」の性質を帯びたニヒリズムへの抵抗となります。
現在、新自由主義の考え方によって社会は衰弱化していますが、
表現の行為によって自分と他者が相互に関わり、
共鳴しあうことで社会は再構築されるという可能性があると言えます。

本書の功績は『精神現象学』を一般の読者により近づけたこと、
そして社会の再構築という可能性を提示したことにあります。

やはり十分難しいですよ。  (2008-01-05)
これを読んで「完全解読」できたと思える人は一体どのくらいいるのでしょうか。
私は「あとがき(おわりに)」しか理解できませんでした。
再読に努めたいと思います。

ついに『精神現象学』を読めるか?  (2007-12-13)
難解をもって知れ渡る『精神現象学』の解説書。
現在の日本の思想・哲学業界では、カントを再評価する柄谷行人陣営と、今一度ヘーゲルをフッサールの露払いとして持ち上げる竹田、西陣営に分かれる。カントではもちろん、アカデミズム本流(?)あるいは反文芸評論陣営として中島義道が、大森荘蔵を背景に存在する。中島に言わせれば、柄谷あたりのカント評価は完全な誤読・誤解らしい(『観念的生活』など)。
評者など、一般賃金労働者からすればそうした評価の如何を判断するのは誠に難しく、佐藤優といった啓蒙精神溢れる書き手が言うところの「実用的」な哲学の効用を実感できない嫌いがある。柄谷を称揚する佐藤とて中島に言わせれば誤読派なのかもしれない。

ともあれ難解なヘーゲルであるが、ヘーゲルこそ元祖「実用」哲学者なのかもしれない。
意識が自己意識から理性へと発展し、ついに絶対精神へと至る道行き、その展開こそ自己啓発の最たるもの。我々はヘーゲルの導きによって、完全なる世界認識を得るというわけである。
竹田、西とも、思想・哲学解説者としては最もわかりやすい文章を書く書き手だ。特に西研のフッサール解説書(『哲学的思考』など)は、画期的にわかりやすいものであった。
その書き手にして、本書『精神現象学』の解説本はこの難しさ! 本書は決してやさしくない。怠惰と無知、そうした読み手サイドの問題も大きいが、思想の拠って来る土壌(グレコ・ローマン文化、キリスト教文化)の欠如も非常に重い。とは言え、繰り返し読むべき1つのサブテキストとして本書は編まれたように思う。原典をいつ手に出来るか、それが問題ではあるが。