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アイテム詳細

大崎 善生

講談社

グループ:Book

ランキング:8356

価格:¥ 680

ポイント:6 pt

発売日:2002-05

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カスタマーレビュー

名人にならず亡くなってしまったのが残念  (2008-08-10)
病気というハンデがあるからこそ、1局の重みが誰よりも強く、死ぬ気で将棋に取り組む村山聖の姿勢が感動的だった。自分勝手で他人にもなかなか心を開かない村山だが、彼の姿勢には師匠や近所の人、奨励会の人たちが放っておけない何かがあり、その何かに誰もが惹き付けられてしまう。名人にならず亡くなってしまったのが残念でならないが、それでも将棋会の頂点であるA級の中でも他者を寄せ付けない強さを誇り、生涯を将棋にかけて生きた彼の人生は幸せだったと思う。

限りなく小説に近いノンフィクション、あるいは限りなくノンフィクションに近い小説?  (2008-08-01)
あえて皆さんとは少し違う観点で感想を書いてみますと、まず思ったのは、この本はノンフィクションなんだろうかということです。村山聖という棋士が存在したことは紛れもない事実ですが、本書に書いてある内容のどこまでが事実で、どこからが脚色で、どこからが創作なのかが判断できない、というもどかしさを感じました。村山聖と親交があったとはいえ、果たして他人の心の動きを克明に描ききることができるものなのでしょうか。筆者と村山聖の間にどのような付き合いがあって、二人の間でどのような会話が交わされたのでしょうか。もし前書きか後書きで、このような裏付けになる話が書かれていれば、ノンフィクションとしての安心感が増したように感じました。

逆説的な言い方をすると、こんな違和感を抱いてしまうのも、大崎さんの文章があまりに巧みだからかもしれません。もしへたくそな文章だったら、こんなことを考えもしなかったかもしれません。

これも青春  (2008-05-05)
 村山聖―平成10年8月、A級に在籍のまま死去。享年29。
 5歳のおりにネフローゼを患い、以後、闘病の人生であった。
 延命治療や麻酔・鎮痛剤など「頭と将棋に悪影響を及ぼす可能性があること」を拒否して逝った。
 村山聖は、大阪の森信雄の弟子となり、短期間で奨励会を通過してプロ棋士になる。
 この師弟、共に大の風呂嫌い。散髪も嫌い、顔を洗うのも嫌い、歯も滅多に磨かない。
 本書は、小説の形をとった評伝である。執筆当時、著者は『将棋世界』の編集長。現在は、作家。
 著者はこの師弟を「犬の親子」と評する。こうした状態も師の結婚によって終結。
 「聖の青春」は、師・森信雄の目を通してみた「聖の青春」なのかも知れない。
 「青春」につきものの異性への恋のようなものは記されていない。
 村山聖は、少女コミックとミステリー、音楽、麻雀を好んだ。
 将棋に関心がなく、村山聖という名前を見聞きしたことがない人にも面白いかどうか。
 文庫で改めて読み、驚きと追悼の気持を込めて本書を紹介した次第です。

さようなら肉丸君  (2008-01-24)
むかし日曜日のテレビ将棋で村山聖を見ました
ステロイドを服用しているため満月様の顔貌です
それで肉丸君というニックネームがつきました
本人はきらいだったようです
それでも将棋は無茶苦茶に強かった
そのころNHKは若手を集めてトーナメント戦を行いました
もちろん村山聖も参加しました
解説は田中寅彦でした
村山があまりに強いので田中寅彦も絶句でした
「終盤は村山にきけ」
誰と無く言うようになりました
彼は終盤に強かった
病期のため彼は長期戦を不得意でした
序盤から時間を使うわけにはいかなかったからです
目を閉じると肉丸君を思い出します
さようなら
僕たちは君を忘れないよ

感動の書 感涙の書  (2007-11-03)
平成10年8月8日に享年29歳で亡くなった天才棋士村山聖の短い生涯を描いた素晴らしい本です。繰り返し読みましたが、その暖かいものに触れた読後感は全く変わりませんし、不変的な魅力を持つ作品です。

私も熱心な将棋ファンですので、村山聖の重い腎臓病のことは「将棋世界」で知っていましたし、病魔に犯されながらも最高峰のA級に上り詰めた才能も高く評価しているわけですが、これほどまでに病気と闘っていたとはこれを読むまでは知りませんでした。

師匠の森信雄と村山聖の生活は一般的に想定される師弟関係とは全く違うものですが、その二人に通う深い愛情は他では見られない絆を感じさせるものです。涙なくしては読めない半生でした。村山聖の短くも将棋に直向に打ちこんだ激しい生き様を温かい視点で描き出した大崎善生の畢竟のノンフィクションだと思っています。母のトミコと聖の愛情も十二分に伝わりました。

本書の中で、昭和57年に中学1年生の村山が、西日暮里将棋センターで伝説の真剣師と呼ばれた小池重明(昭和55年アマ名人)に平手で勝ったくだりは爽快でしたし、あの羽生善治に4連勝し、佐藤康光とは口を利きたくなかった話など将棋ファンにとって興味深いものです。
谷川浩司を倒したい、勝ちたい、と思いつづけ、A級順位戦で対谷川10戦目にしてつかんだ初勝利は、まさしく村山の会心譜でありました。
将棋の知識がなくてもスッと読める作品です。