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講談社
グループ:Book
ランキング:252
価格:¥ 756
ポイント:7 pt
発売日:2007-12-19
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アスペルガー最前線
(2008-07-19)
発達障害者・児について最前線の取り組みを知りたい関係者が読むには満足のいく一冊です。当方はアスペルガー診断済です。一読して「むずいなぁ」と(笑)。気鋭の研究者が書いた専門書だから、発達障害について全く知らない人が読むとかなりしんどい部分も多い。当事者でも新書を読みなれている人じゃないとついてこれないでしょ。
発達障害に関わる人々すべてに推薦したい
(2008-07-16)
発達障害の本と言えば、医師が医学的な見地から記したものか、教育関係者が教育的視点でまとめた物が大半であった。帯に短したすきに長しといおうか、どうも物足りない物があった。発達障害を持つ子どもたちの成長には医療も教育も必要不可欠なのであるが、うまく間を取り持つような書物という物はこれまでほとんどなかったように思われる。
そういった意味では待望の書である。
著者は発達障害に関する医療の最前線の医師である。この分野では著名な方なので名前を知っている人も多いであろう。
この書の特徴は徹底的に臨床の立場から述べられていると言うことである。発達障害に関する医療の最新の見地を、保護者が、教育関係者が何を知りたいかということを意識しながら書かれている。境界知能、高機能自閉症とアスペルガー症候群、ADHDとアスペルガー症候群の誤診、タイムスリップや解離、親子間での遺伝、虐待や犯罪と発達障害、特別支援教育、薬物治療、かゆいところに手が届くといおうか、発達障害の症状や特徴、機序だけでなく、実際に発達障害を持つ人々と接する人間が求めている知識を知り尽くしていると思わせる。これまでの医師が著した発達障害の書物にはあまり見られなかった特徴である。
著者は発達障害に対応するには医療よりも家庭や教育の関わりを重視している。この書もそういった家庭や教育へのエールと受け取ることもできる。そのなかでも特に特別支援教育への期待とお粗末な現状への批判は傾聴すべきである。著者の期待に応えていけるような教育の実現が望まれる。
今後どう育てていくか、という課題に
(2008-06-04)
「発達障害である」という診断後、どのように我が子を育てていくのか、また、どのような進路をとらせるべきなのか。さまざまな意見や考え方にとまどう親、また本人に、明確にかつ具体的に、幼児期、学童期、青年期、そして就労にいたるまでの過程や経過、アプローチの仕方を指し示してくださっている。学校生活をどのように送るか。どのような教育がより本人のために良いのか。
ぜひ、多くの教育関係者、そして、すべての方々に、この本を読んで理解を深めていただきたいと思います。
誤解から、理解へ。
(2008-05-19)
「どうも、僕は、人と違うぞ」とつねづね思っていた。人に何か聞かれても、返事をするまでに、長い時間がかかってしまう。それを待ってくれる人はまだいい。たいがいの人は待ってはくれない。返事をしようとはするのだけれど、直ぐに答えが出ない。話しかけた人にしてみると、僕は、その人を無視したことになる。そうじゃないんだけどな、と思う。けれど、何も言えない。この本を読んでいたら、ああ、そうか、どうやら僕も発達障害、という障害を抱えているらしいぞ、と気づいた。この本に出てくる、意味も無く同じ行動を繰り返す「こだわり」行動だとか、大まかな意味を捉えることが出来ず、どうでもいいことだけに気が行ってしまう、といった障害を僕は抱えているからだ。
この本の中で励まされたことがある。発達障害を抱えた人でも、犬には何百種類もあるのに、それが犬と言われるのは、なぜかについて調べはじめた方がある。その方はとうとう犬の鼻が犬を犬たらしめている所以であることを発見した、と言う。そうして、今では世界的な動物学者であるという。障害を抱えていたからこそ、この発見が実現できたのだ、と著者は言う。どうでもいいことだが、村上春樹さんの小説『海辺のカフカ』に出てくる、ナカタさんも、おそらくは、発達障害を抱える一人だろう。彼は、猫と話が出来る、と言う特殊な能力を与えられている。僕は、このナカタさんにも、――ひいては、村上春樹さんにも、――励まされた。僕にも、あるいは、何か出来ることがあるかもしれないぞ、と励まされたのだ。太宰治は、「畜犬談」と言う小説の中で「芸術家は、弱い者の見方であったはずなんだ。それが出発で、また、最高の目的なんだ」みたいなことを言っている。村上さんは、そういう点で、太宰の血統を引いているようだ。話が脱線してしまったが、もし周囲に僕のような人がいたら、ぜひ、この本を読んでほしい。誤解が解けて、理解が生まれるのを僕は祈っている。
「お茶目な先生」との印象。
(2008-03-23)
もちろん、著者の杉山登志郎氏のことである。直接の対面は一度もなく、50人ほど入った会場で最後部席から講演を1回聴いただけの間柄だから、純粋にこの本を読んだ後での印象である。
たとえば、第9章の中で、「日本の学校は、とてもよくやっている。むしろやり過ぎている。」と書いた15行後で、「さて、持ち上げた後に、今度は批判を述べなくてはならない」と、教育現場の混乱ぶりを指摘する。
また第2章では、「脱線であるが disorder のこのようなニュアンスを正しく伝えることができる日本語はないだろうか。○○障害より○○失調のほうがまだしも良いのではないだろうか。知的失調症、広汎性発達失調症、注意欠陥多動性失調症など。読者のみなさんからの良い提案を期待したい。」と、国立大学教授を辞して臨床の最前線を選択したその人間性が、随所ににじみ出ている。
「あとがき」によれば、講談社から執筆依頼があった時には逡巡したそうだ。その後で、次のように記されている。
「返事をペンディングにしたまま臨床に追われる毎日を送るうち、他ならぬ発達障害外来の中で、あっと思うことが重なった。つまり、外来の臨床で障害児を持つご両親と話をしていて、本当に必要なことがきちんと伝わっていないのではないかと、著しくいらだちを覚える場面があったのだ。言い換えると、この情報化時代の中で、十分に行き渡っていないしかも障害児臨床において根本的に重要な問題が残されていることに私は気づいた。」
発達障害についてほとんど知らない方にも、専門家の方にも、一読するに十分値する好著だと思う。(なんといっても、「新書」だから廉価なのがいい!)

