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アイテム詳細

城山 三郎

文藝春秋

グループ:Book

ランキング:45773

価格:¥ 1,500

ポイント:15 pt

発売日:2007-08

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カスタマーレビュー

亀の甲より、年の功  (2008-04-20)
 売れている小説家の日常を書いたエッセイにも、駄文は少なからずあったりするが、著者による本書のようなエッセイは、「さすが!」とうならせる、含蓄に満ちた文章が詰め込まれているといった感がある。
 1千5厘と言われた命を、人間機雷伏龍(これについては『人間機雷「伏龍」特攻隊』が城山氏著ではないが詳しい)として早々に終わることなく、経済小説の第1人者として天寿を全うした氏。
 氏を惜しみ、その真っ直ぐで無所属な思いを知る為にも人生を振り返って、旅の街角で、日常生活の場で、氏が接した有名人の横顔について、と様々なテーマでつづられた本書を、氏の小説に魅せられた読者には、是非おすすめしたい。

深重さの中の温かさ  (2007-09-06)
「取材魔」「足軽作家」とも呼ばれたこの人。飽くなき真実の追求、歯に衣着せぬもの言いは人後に落ちない。「エリートたちはなぜ堕落したのか」「日本官僚の自殺」「人間を見つめる力が足りない」などと閉塞した現状を訴え嘆く。半世紀にわたって足で書いたような労作を遺し、今年3月八十歳を一期として逝った。
 本書は主として21世紀になって晩年の随筆集である。小説とは違って、裏面に隠された人間的温かさが感じられて、この作家に親近感を抱くようになろう。マイペースで「我が道を行く」一方、意外に「気遣いの人」でもあったとその愛娘井上紀子による追悼文(あとがき)もある。
 本書タイトル「嬉しうて、そして…」は本書掲載の一編「パラオ便り」のテーマを用いている。太平洋戦争での玉砕の島は今「夢の島」として観光客がよく行く島であるが、日本軍玉砕の「死の島」であったことを思い、「嬉しうて、そして悲しき……」とつぶやいてしまう。
 人間魚雷で死ぬべき運命を生き延びた世代の複雑な思いがこもっている。「おもしろてやがて悲しき鵜舟かな」この芭蕉の感傷を越えて、歴史的背景をもった深重な意味を含蓄させた言葉であると思われる。