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文芸春秋
グループ:Book
ランキング:3504
価格:¥ 500
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発売日:1979-09
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カスタマーレビュー ![]()
敗者をして真に敗者たらしめる為の書
(2008-04-15)
敗れるためには誰かにあるいは何かに倒されなければならない。彼は一体何に倒されたのか。さらに重要なことは、敗れる為にはそこにその場に立たなければならない、恐怖と孤独のただ中に、運命を決する場に。彼はどうやってその場にたどりついたのか。あるいはたどりつけなかったのか。一生「その場」に立たないであろう大多数の男達の一人として沢木耕太郎はその何故、いかにしてを見届けようとしている。
「長距離走者の遺書」のなかでの円谷幸吉と斉藤勲司との「牧歌時代」が、おそらく全ての敗者の出発点なのだ。栄光のためでもなく金のためでもない。ただ走るのが楽しいから走っていた。走り続けた。ところがいつの間にかそれが変質してしまう。「何か」を得るために走るようになってしまう。「何か」のために走らされるようになってしまう。その極点において敗者は2つに分かれる。運命に選ばれてしまった者と運命を選び取った者とにだ。足を故障しても走り続けたアベベ、引退後もハードトレーニングをし続けた榎本喜八。かれらは結局老成しなかった者と言い換えることもできる。それは世間的にみれば敗者なのだ。だがそれは本当に敗者なのか?「あしたのジョー」に憧れた無数の若者達とともに沢木耕太郎は自らにそう問いかけている。
哀れなほどの愚直さが美しい
(2007-10-10)
プロスポーツにおいて努力の末に栄光を勝ち取る者がいる。しかし、その裏側で華々しい舞台から去るものがいる。
その後に第二の人生を見つけ出せた者、死を選ぶ者、見果てぬ栄光に向かって漂う者・・・。
勝者以上にひたむきな努力をし、一度は「いい時期」がありながら、結果として彼らが敗れたのはなぜか。
その理由を各人の生い立ち、家庭環境や性格にまで触れ、深く探ろうとした若きルポライター沢木耕太郎の「汗」や「勢い」が感じられる。
努力が報われずに抜け道の無い失意の淵を漂った者として、私自身、昔の古傷を開いてしまうようで読むことが少し苦しく感じました。
もし私がもっと早くこの本に出会っていたら、敗者の生き様を見て自分の努力のありようを変えられたかもしれない。
敗れざる者たち。私もその一人・・・。
スポーツに限らず、ライバルと戦うと同時に自分と戦う状況(例えば受験とか)に直面している人、これからそうなる人に読んでもらいたい一冊です。
戦後世代を代表するノンフィクションライターの傑作
(2007-04-09)
戦後に生まれた第一世代の私にとって、文学における村上春樹、ノンフィクションにおける沢木耕太郎は皮膚感覚で共感できるもっとも好きな作家だ。沢木耕太郎の作品をはじめて読んだのは「地の漂流者」だったが、たちまち魅せられた。沢木は当時まだ20代半ばだったように記憶している。僕という一人称で書かれた文体は取材対象に深く関わりながら距離感を持ち、それまでのノンフィクションにはない鮮烈な感性を感じさせた。2冊目として出版されたこの本を読んでからは、この作家の作品はすべて読もうと心に決めた。すでに3度読んでいるが、色褪せることはない。いまも若い読者を惹き付けているいると知り、嬉しくなった。未読の若い世代の方には是非読んで欲しい。ノンフィクションの面白さが堪能できる。沢木はいまも卓越した作家だと思うが、20代に書かれた作品が私はいちばん好きだ。
ドランカー(酔いどれ)だけでも★5
(2005-03-04)
小学生の時、輪島功一がKO負けした試合、雪辱したリターンマッチともテレビで見て、
「これが日本魂というものです!」に極限の大感動をし、カッコいい!とガキながらにマジで泣きました。
その後、中学を卒業する時に担任の先生がくれた本が本書でした。
劇的な勝利の裏側の、苛酷な練習と試合への恐怖を勇気と知略にて乗り切る日々を淡々と描かれ、再び例えようのない感動を蘇えらせてくれたものです。
「前回負けたのは確かに反則パンチのせいかもしれない。
だが、奴は汚かった、それを言うためには、今回勝たなくてはならないのだ」
これが日本魂というものです!!
沢木さんの最高傑作じゃないかな
(2004-05-06)
高校生の頃、初めて読んだ。面白かった。30代半ばで再読した。大感動した。やっぱり「クレイになれなかった男」。僕もまた「いつか、いつか」とつぶやきながら、今日を見ずに生きている。沢木さんは、そんな男達を、苦笑を持って描いてくれる。「あいつも苦労しているな」。技巧的には若さも見られるし、書きすぎだよって思うところもあるけれど、文句無く(有りか?)、最高傑作。もちろん「一瞬の夏」も良いね。

