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光文社
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インドを知るてがかり
(2008-07-08)
言葉もありません。
ただ、呆然とするのみ。
日本人には、到底インドのカーストを「理解」出来ないでしょう。
いや、「理解」などしたくありません。
目を背けたくなる。耳をふさぎたくなる。吐き気すら催す残虐な仕打ち。
こんな国の金持ち連中が、核を持っているという恐怖。
私たちの知っている「インド」はほんの数パーセントの限られた人々によって展開されて
いる美しくも邪悪な薔薇の花園であることを知らしめられました。
人間が人間として生きることの意味を真剣に考えたい方々に、是非読んでいただきたいです。
(ひどい内容が含まれていますが、個人的には、大人に一歩近づいた高校生に読んでもらいたいです。)
ここまで酷いとは・・・
(2007-09-16)
インドのカースト制と言えば、バラモンを頂点とした4つの階級から成る身分差別制度だということは学校の地理で習うが、実際にはその4つの階級の他にアウトカースト(カースト外のカースト)という「不可触民」(字面だけでも酷い言葉だ)と呼ばれる被差別階級の人々が実に多く存在する。
本書は著者が実際にインドを訪れ、不可触民と呼ばれる人々から様々な差別体験を聴いてまとめたもので、厳しい差別にあう人々から通して見たインド、というような内容である。
不可触民と呼ばれる人々の体験談がたくさん載せられているのが、途中で読むのが憚れるぐらいの本当に酷い内容である。
カースト制度がかなり厳しいものだとはわかっていたつもりだったが、正直ここまでとは思わなかった。
一例を挙げると、カーストヒンズーと呼ばれる4つの階級の人々は、アウトカーストである不可触民を殺しても捕まらない。新聞にすら載らないんだそうだ・・・
20年以上前に書かれたものなので、ほんの少しでも改善されていることを切に願う。
扱われている内容は酷いが、文章はとてもわかりやすく読みやすいので、カースト制度とは切っても切り離せないインドの現実を少しでも知りたいという方にはお勧めする。
ただ祈るしかありません
(2007-08-19)
非暴力思想を説いたガンジーは偉大な指導者。カースト制度という厳しい身分差別。学校で学んだ知識で残っているのはこれだけ。この浅さがあまりにも情けなくなりました。カースト制度にすら入れない「不可触民」という人々がこんなにたくさんいるなんて…
思うに、国が持つ民族性、文化、意識というのは、その国の外にいて情報を得たり本を読んだりしただけでは決して理解できないのだ。どう見ても、「人間はみな対等。身分差別などとんでもない!」けれど、例えば外部の人がいくらそんなことを表面的に訴えたり指導したりしても、何千年という歴史が積み上げてきたものは、単純には覆らない。制度は変えられるかもしれないが、人の心に蓄積された意識、それも宗教と絡んだ意識を変えるのは至難の業としか言いようがない。
何もできない非力な私は、不可触民が置かれている劣悪な状況が、何とか今より少しでも改善することをただただ祈るしかありません。
人間が人間を差別することの冷酷さ
(2005-06-15)
現在の地球上で、ここまで厳しい身分制度が残っているのはもうインドだけなのかも知れない。
本書はその身分制度の中でも、アウトカースト(カースト身分制度にすら入っていない人々)の生活と苦悩をつづった書である。
インドにおけるカースト制度が苛烈なのは、法律で縛られているからではなく、インドの人々(その数、10億人!)が、存在そのものを、「当たり前である」と心から感じている生活そのものだからである。
この感情は、何も差別する側だけの優越感ではなく、差別される側にも存在し、それらは「絶望感」や「あきらめ」といった感情になって表出する。
ここまで心に深く植え付けられた文化(文化とは呼びたくないが)を、教育などの後天的なものにより変革することが果たして可能なのか、それは何年かかるのか。
それ以前に彼らは変りたいと思っているのか?
インドに触れるたび、哲学の偉大さと難解さを思い知らされるが、本書もまた、インドを哲学的に考えさせるテーゼを提供してくれる。
良書である。
生身
(2004-06-21)
あなたは、インドと言えばまず何を連想しますか。
白亜に輝くタージ・マハール,スパイス,ガンジス河,牛,目にも鮮やかな色とりどりのサリー・・・。
私たちの日常とはどこかかけ離れた神秘的な何かを内包している、不思議な国。
私たちは一般に、インドの不可解さをとかく神秘性に帰して理解しようとしてしまいがちです。
私自身もインド古典文学の勉強というかたちで一歩踏み込んでインドとかかわりながらも、
どこかそんな視点をもったままでした。
しかし本書はそんな視点を気持ちいいほど覆してくれます。
旅行,映画,文学といった経験を通して知ることのできるインドの根底には、
おそらく今の日本人の感覚からはほぼ断絶した人間観が潜んでおり、人々を強力に支配している。
ここに綴られている数々の不可殖民による被虐待の証言が、実際に生身の人間によって
当たり前のように行われたことだと、すぐに信じられるだろうか?
社会通念に守られる形で、家畜以下の差別と虐待がまるで空気のように存在しているなんて、
今日において信じられるだろうか?
しかしまた同時に、差別する側の彼らと私たちの間にいったい何の違いがあるのだろうかとも考えさえられる。
何かを踏みにじって、踏み台にして、自分が安全であることを確認したい野蛮な衝動は、
私たちの内側にまったく存在していないと言えるだろうか?
生身のインドを垣間見させてくれるし、また含んでいるものが強烈なため、
いろいろ考えるきっかけにもなる、貴重な一冊です。

