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筑摩書房
グループ:Book
ランキング:96972
価格:¥ 714
発売日:2001-01
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「事実」を重視した読書法
(2008-03-28)
「もてない男」で一躍論客として脚光を浴びた著者が、一般読者のために本を選ぶコツを語ったもの。呉智英氏が著者の師匠筋に当たる事は本書で初めて知った。著者の博識と論争好きも分かるような気がした。インテリ臭のある呉氏の「読書家の新技術」よりも一般読者を意識して、尚かつ内容的に上まろうとする意識が窺える。
著者が強調するのは、「思想より事実」である。ユングなどオカルトだと切って捨てる。そして、事実を学ぶには歴史が重要と語る。歴史を理解するためには、その時点の政治や経済・外交あるいは地理なども理解しなければならないから、結局知識を積み重ねる事が大切だと言っているのだ。これには、物事を議論しようにも、余りにも基礎的知識が不足している学生を身近に見ての率直な思いだと、本書中で語られる。それもあってか、読書を硬く考えないで、面白い本(漫画を含む)を選ぶ事も推奨している。そして、著者の思い切った点は、「読んではいけない本」のリストを実名で出している事だ。こんな事をするから論争が絶えないと思うのだが、読む方は面白い。私が既に読んだ本も7冊入っていたので、この点は苦笑せざるを得ない(評価は似通っていたが)。この辺の他者の思想や作品を貶す箇所になると筆が活き活きとして来るのが著者らしく、また呉氏の弟子らしい。逆にお勧め本のガイドブックもある。これも参考になる。上述した通り、思想書よりも事実を含んだ歴史小説、あるいは面白い本が紹介されているのだ。
最後に「事実」の重要性を再度強調し、運動や意見によって事実を捻じ曲げてはいけない事を力説する。そして、事実を教える際、物語性を批判する事を批判している。最近良く言われる「半径3m以内しか関心を持たない」若者への警鐘も鳴らしている。本との向き合い方を語って、思想と事実の関係を鋭く考察した刺激ある啓蒙書。
「バカ」ではあるが、「怠惰」により「無知」のままでいることを良しとしない人のためのブックガイド
(2008-03-25)
読まなくても良い本のリスト。
昔、ヨーロッパには「子ども」という概念が
無かった・・・といった知識を仕入れる前に
大前提として歴史を学んでおくためのリスト。
年代、男女別、おススメ小説リストなどあり。
学者や知識人の「事情」によってススメられる本を
素直に読んで、時間を無駄にしないために
とてもためになるガイドブックだと思います。
本当に「バカ」向け?
(2007-10-23)
書きたいことはなんとなくわかるのですが、
文章が学術書みたいで読みにくかった。
もう少し判りやすく書いて欲しかった。
それとおすすめ作品と読んではいけない作品
の解説ですが、とても個人的な感じがしました。
幸い今のところ読んではいけないリストに入っている
作品は読んでいませんが。
読んではいけないといわれると余計読みたくなるのが
人間の性でしょう。
たぶんこの作品、「バカ」向けではありません。
「そこそこ頭がいい」人向けのような気がします。
バカの今後について書かれていない
(2007-10-21)
2,3,4章は著者による名指しの罵倒がほとんどで読書術には関係がほとんどない。他の章は役に立つ。事実を先に学べっていうのは多分多くの人が同意するのではないでしょうか。意見、主義主張がどかんと胡坐をかいている中、事実でもってそれらをぶったぎることは学問の世界に限らず現実でも有効だと思われます。ただバカが読書をした後どうなるのかが書かれていない。例えばこの新書には事実を知ってればバカじゃないやつにバカが論争で勝つこともできると書いているが、やはりバカはバカのままじゃないだろうかと思わせる諦観が漂っており、事実バカのその後については書かれていない。Mなバカ人間にとっては読んで損のない新書だと思われます。
信用に足りる読書指南書
(2007-08-05)
筆者のバカの定義は「抽象的なことが苦手」な人であり、「無知」や「怠惰」に居直るバカは「犯罪的」とまで言ってのけるが、向学心のあるバカに対して「味方」ではないが同情を寄せているという。そんなバカへ送る読書術。
そんな筆者のバカへの提案は「歴史を学ぶこと」である。なぜならば歴史においては物をいうのは「才能」や「ひらめき」ではなく、努力することによる知識の蓄積であるからだ。蓄えたその知識で、場合によってはインテリ知識人の誤りを指摘することができるのだ。
また、筆者によれば巷に出回る既存のブックガイドは、選者が学者である場合同業者に「こんな本を薦めているのか」とバカにされる恐怖から奇をてらった本を選んだり、初心者にとっては歯ごたえがありすぎるだろという本が載っていたりするという。
その点彼は『もてない男』の作者でもあり、「無理なものはあきらめろ」とういう思想はこの本でも一貫している。一見それはみもふたもないもないと思ってしまうが、努力すれば報われるとか、人間みな平等という偽善と考える彼が選んだ本であるから信頼に足りる読書術なのではないだろうか。
この人の文章の魅力は訳知り顔の、鳥瞰的な物言いをあえてしないところであり、自分と難解本との悪戦苦闘ぶりなどのエピソードからも、その姿勢はこの読書指南書の体をなしている本書でも変わりないということがわかる。
ただ読書術を求めている人のみならず、小谷野の作家性に魅了されている読者も手にとってみてはいかがか。

