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阪急コミュニケーションズ
グループ:Book
ランキング:20696
価格:¥ 1,575
ポイント:15 pt
発売日:2005-06
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「サイズの生物学」を更に推し進めて、宗教的、哲学的時間論に挑む
(2007-09-20)
『ゾウの時間、ネズミの時間』で知って以来本川氏のファンでときどき手にとっている。
本書は雑誌などに掲載されたエッセイを編んだものである。
「シンガーソングバイオロジスト」を自認する氏らしく、例えば長女が生れたときに作った子守唄など、自作の歌が満載で楽しい。
本川氏の真骨頂は実は歌のほうかもしれないが、一般に有名な生物の時間論については「道元の時間」という永平寺で行った講演録が出色である。ただし、科学的な精密な時間論の論考という観点では『ゾウの時間、ネズミの時間』を越えるものではない。より宗教論的、意味論的になっていて、その意味では「サイズの生物学」の進化形として興味深いが、議論としては事実と経験の区別があいまいな点が気になる。
例えば、子どもの頃は時間がたつのが遅く感じられたが、歳をとると時間がたつのがはやい、というのは経験的には確かに誰もがうなずくところだが、それが事実としてどうなのか、メカニズムとしてどうなのか、という点をすっ飛ばして、いきなり子どもは活動的でたくさんエネルギーを使うから時間がたつのが早い、だから「時計の1時間」が感覚的には2時間にも3時間にもなる、という解釈論になる。子どもがゲームをしているときのエネルギー消費量よりも、老人がジョギングしているときのエネルギー消費量のほうが大きいと思うが、そういうところはよくわからない。
時間論については他の著作に比べて議論が大雑把だと感じたが、もとより、本川節は健在なので、本川ファンには十分楽しめると思う。
「西洋の哲学にはまともな時間論が無い」
(2005-07-04)
名著『ゾウの時間・ネズミの時間』中公新書)の本川達雄教授のエッセイ集。ゾウは70年も生き、ネズミの寿命は1〜2年であるが、心臓は15億回鼓動すると、だいたい壊れる。心臓の拍動を時計として考えるならば、ゾウもネズミもまったく同じ長さだけ生きて死ぬことになる、という主張は本当の目ウロコだった。
さらにこの本で、キリスト教の影響下にある「西洋の哲学には、どうもまともな時間論が無いらしいのです。時間は神様のものであって、われわれが考えてもはじまらないということで、深い考察の対象になってこなかった」(p.177)あたりは感心した。例えば、老人と子供では体内に別な時間が流れているというのは実感できると思うが、アメリカなどでは、みんな同じ時間が流れているということが前提となっているので、老人となった元英雄が再び宇宙旅行に出かけたりするデモンストレーションが行われることになるわけだ。
半分近くが永平寺に招かれた際に行った『正法眼蔵』に関する講演。本川さんによると、動物はそれぞれ独自の時間を生きていることになるが、それを敷衍すると、ひとりひとりが違った時間を生きていることになる。そして道元が解脱したときの「身心脱落」について、「自分の次元にいつもとらわれていますから、世界が全部その次元でできているとしか見えない。パッと自分の次元が落っこちてしまった時に、違った生きものの、それぞれの次元が浮かび上がってくる、そういう話なのか」(p.204)と考察するあたりが、この本のピーク。

