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Friedrich A. Hayek
一谷 藤一郎
一谷 映理子
東京創元社
グループ:Book
ランキング:13165
価格:¥ 2,625
ポイント:26 pt
発売日:1992-07
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カスタマーレビュー ![]()
大変な名著
(2007-12-30)
これは、やはり、大変な名著です。原著は、1944年に初版が刊行されていますから、1930年頃に旧ソ連で行われた、一般市民に対する、政策としての飢餓やシベリアへの大量強制移住の後のことです。当時、少なくとも数百万人が死んだと言われています(要するに、旧ソ連当局に殺されたのですが…)。
本書の注釈において、ヒトラーが1941年の公式演説で、ナチズム(国家社会主義)と共産主義(マルキシズム)は、同じものであると述べたことを紹介しています。そしてハイエクは、左翼思想(共産主義)と右翼思想(国家社会主義)が、本質的に同じものであることを見破っています。私も、同様の考えを独自に持ちましたが、もっとはやく、この本を読んでいればと悔やまれました。
ちなみに、この本が広まらないように、社会主義陣営は、あらゆる手段を講じたそうです(当然、非合法活動も含まれると考える)。実際、日本の社会学者や経済学者、特に左翼系の学者が、この本について、ほとんど何も言及しないのは、やはり政治的な意図があるからでしょう。
要するに、左翼の共産主義体制にしろ、右翼の国家社会主義体制にしろ、また官僚社会主義体制にしろ、市場を否定する統制経済体制は、必然的に個々人の自由を否定し、抑圧体制へと至るということでしょうが、ハイエクは、市場を重視するにしても自由放任の立場ではなく、法を遵守した自由の大切さを述べているように受け取れました。その辺も、まったく同感です。
結局、左翼の共産主義にしろ、右翼の国家社会主義にしろ、全体主義体制というのは、要するに、社会全体のためと言いながら、一部の特権階級(ノメンクラトゥーラ)だけが、不当に利得を得られるよう、大多数の一般市民、個々人に対して、多大な不自由と不利益を被らせ、搾取し、結果として、当の、社会全体を疲弊させてしまう、詐偽体制であるとしか言いようがありません。
読まれるべき歴史的書
(2007-02-14)
新自由主義の理論的先駆ハイエク。しかしそのエピゴーネン達らの議論が、異様なまでに空想的で極端で、ブキャナンに至ってはただの資本の専制主義にほかならない議論をするのに対して、集産主義全盛の時代に「少数派」として論陣をはったハイエクの議論は、慎重だ。また基本的に進歩主義の立場に立ち、保守主義とは区別している点も新自由主義とはかなり違う。また自由放任主義的態度をそのまま容認しているのではなく、競争を有効に機能させるための法の構造・支配を重視している、この点においてノージック的なユートピア主義とは区別される。ハイエクの力点は、人間は個々違った価値観を有しているのであって、集産主義は価値の一元化をもたらし独裁を招来するということだ。つまるところ「法の支配」を否定する独裁の台頭傾向を、集産主義的計画化にみるのだだが、結局のところ前提条件が間違っている。19世紀の自由主義礼賛がそれだ。ハイエクは、自由社会が単一目的に服従していい状態として「戦時」をあげる。「リベラル」な社会に生きる者からすると恐るべきテーゼだ。実際、戦時における政治的表現の自由が確保されるようになったのは、ハイエクが忌み嫌う集産主義の時代であったし、今日の市場原理主義の時代においてそれは脅かされつつあるのだ。そしてハイエクは、「法の支配」は語るが「権利」を狭義にしか語らない。彼が理想化する19世紀自由主義のもとでは、人民は政治的自由どころか生存の自由すらなかった。特権層に対する労働者階級の権利獲得、そして大衆的な自由が獲得されていく軌跡が、19世紀自由主義の否定の軌跡とほぼ重なっているということに一切の言及をしていない。特権者の自由を守ること、それがハイエクの議論の要である。
集団主義への警笛
(2006-09-09)
1974年にノーベル経済学賞を受賞したF.A. Hayekが1944年に発表しKeynesが絶賛した名著。社会や国家に一義的な目的を唱える集団主義(個人主義に対峙する意味で)が、現在の経済的繁栄を支えている民主的自由経済と如何に相容れない思想であり、当時のロシア、ドイツのような専制政治へと進展するリスクを訴える。民主主義は個人を守るための基礎であり、個人主義は個人が人それぞれの価値観や嗜好を尊重しそれぞれの可能性を発展させるための基礎であり、自由な市場はその個人の経済活動を円滑に橋渡しする仕組みであることを説明。社会主義が約束する「新しい自由」とは結局のところ「富の再配分」であり、計画経済の実行能力が既存の市場経済の効率に勝らない限り、社会主義は現状の経済発展を維持することさえも困難となることを指摘。民主的社会主義という理想は、その実行手段の問題から必然的に個人の自由、集団に属さない人々の迫害を助長し、経済の疲弊、格差の拡大を生む。また結果として計画経済の最も効率的な形としての専制政治、極端な国家主義の出現を予言し、民主主義と密接な関係にある経済的自由を軽視する風潮に警笛を鳴らす。Hayekは市場経済が効率的に機能する前提として法秩序確立の重要性を主張。Kantの「法律以外の何人にも従う必要がなくてはじめて人は自由となる」を引用する。日本ではHayekについては何かと誤解、偏見があるようで残念。オーストリア人の著者の英語は確かに一見難しいが、that節と倒置法が多いという傾向を頭に入れれば論理的な文章でることが見えるはず。本書が今後もより多くの読者を持つことを切に願う。
centrist Hayek
(2006-03-02)
今現在の日本で右派からも左派からも批判されるのがハイエクだ。
ナチスなど全体主義を批判する書であるが、彼の自伝によれば、この本は欧州において評判は普通であったが、米国ではベストセラーとなった。
ハイエク自身にとっても大変な驚きであり、そのため米国で講演行脚をせざるを得ない羽目になったらしい。
ハイエク、フリードマンはサッチャーと交流があり多くを語り合ったという。
彼の邦訳の中では一番手に入りやすい書物であるし是非手にとって読んでみてほしい。
ハイエクの理想から外れた構造改革
(2005-07-03)
隷従への道は政経不可分なるが故にケインズ政策をとっていたナチを念頭に粗相した政策をとる事はナチの如き隷従への道を歩むので国家の経済への介入を全廃せよと言う新自由主義的構造改革の原典の書物。論敵ケインズも賛を送る。ただハイエク自身はハイエクを尊敬してやまなかった構造改革の元祖サッチャーを隷従と戦争を生む政治家として軽蔑してやまなかった。フリードマンが有名だが正統ハイエク派の師F.ナイトとから隷従への道を防ぎ個人の尊厳を守る為の手段としての新自由主義の手段と目的を取り違えていると言う事で破門。虐殺で捕らえられたピノチェト軍事独裁政権に協力しそこから新保守なりネオコンというハイエクの理想を外れた新たなるファッショが躍動し始める。

