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東京創元社
グループ:Book
ランキング:67685
価格:¥ 693
発売日:1982-02
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カスタマーレビュー ![]()
秋の夜長にじっくり読みたい
(2008-10-15)
ずっと引っかかっていたことがあって、それは私が中学生だったとき、私を読書好きにさせた友人が最初に薦めた本の一つが「ブラウン神父」だった。結局それから読む機会がなく、あのチェスタトンが書いていることを比較的最近知って是非読まねばならぬと思い、今回38年の長い月日をこえて念願がかなった。
この作品ではブラウン神父とフランボウがコンビで出てくるのでコナン・ドイルのシャーロック・ホームズものと較べられるのだが、作品としてはシャーロック・ホームズの方が先なのでチェスタトンの方がスタイルをまねたとも受け取れる。しかし本国はもちろん日本でもシャーロック・ホームズの方が圧倒的に人気があるのでほとんど問題にならないだろう。
日本では昭和30年代にこのブラウン神父ものをはじめとするチェスタトンの探偵小説が洪水のごとく続々と邦訳され一種のブームが生じたこともあって、比較的年配の方に知名度があるのではないかと思われる。
この本は1982年が初版だからその当時よりは訳がこなれていると思うが、それでもたとえば「サラディン公の罪」の中の「『なむさん!』とサラディン公爵は言って白い帽子を荒々しく頭にのせ」というところを読むと「なむさん」を国語辞典で引かなきゃわからないわけで、確かにこの原本が最初に出版されたのが1911年(明治44年)なのだから、文章の格調に時代性を考慮すれば訳としては間違っていないんだろうが、今の感覚では読みにくいと思う。
全部で12の作品が載ってるが、単にトリックのうまさをいうなら作品によって出来の良し悪しが目につくが、一つの物語としてならどれも読ませてくれる。「青い十字架」で神父が人間理性について語るところがあるが、原本が出版される2年前チェスタトンの代表作である「正統とは何か」が出版された。理性を軽視することはカトリックの正統に反することをちょっと披露している。
日常を異化し、捉え直す「童心」
(2008-04-28)
◆「青い十字架」
大怪盗・フランボウを追うパリ市警主任・ヴァランタン。
タイトルの「青い十字架」は、ブラウン神父が所持する実在のものであると同時に、
終盤、神父とフランボウが神学論争をした丘の上にある星空をも指しています。
そこで神父は、大宇宙のなかでの理性の限界を訴えるフランボウに対し、
全宇宙をあまねく照らす、理性と正義の普遍性を高らかに宣言するのです。
◆「奇妙な足音」
ホテルの廊下で、足早な足音と落ち着いた足音が交互に繰り返される。
のちに、高価な銀器が盗まれたことが発覚するのだが…。
◆「イズレイル・ガウの誉れ」
神秘的な伯爵の生死を調査しに来たブラウン神父たち。
城には、奇妙な状態にされた物が溢れていて…。
おどろおどろしく、陰惨な話かと思わせて、
結末であたたかな余韻に浸れる話。
話の核となる、伯爵と召使いのイズレイル・ガウの
やり取りには、寓話的な機知とユーモアを覚えます。
新鮮
(2008-04-12)
一話目から誰もがアッとする展開。
それほど最近の作品では無いのに作者のオリジナリティーが新鮮。
これを読んでからかれこれ10年位経ちますが、また読んでみたい作品です。
記念すべきデビュー作
(2007-10-06)
記念すべき「ブラウン神父」シリーズのデビュー作。神の奇蹟は信じるが、人の起こす奇跡は信じないブラウン神父が数々の逆説で難事件を解決する名シリーズ。目の前にある事実を、人が見ていない現実への皮肉が効いている。
「青い十字架」はブラウン神父のデビュー作であると共に、初期の相棒フランボウのデビュー作。いきなりの奇矯な行動で読む者を驚かす。「奇妙な足音」は陰惨な印象を受ける作品。「見えない男」は衆人環視の中で身代金を奪って行く犯人を描いた有名な作品。冒頭で述べた、「目の前にあるものが見えない」例の典型。「イズレイル・ガウの誉れ」は一見、支離滅裂な展開の中でブラウン神父の論理が光る。「折れた剣」は有名な問答「木の枝は何処に隠す ?」を含む秀作。
どの作品もアイデアが凝らされ、作品毎に陰影に富んでいる。鮮やかな逆説で読む者を楽しませる珠玉の短編集。
波があるが、アイデア性と雰囲気作りに優れる。最高傑作を収録。
(2007-09-02)
真ん丸顔でとぼけたイメージの名探偵ブラウン神父の連作短編集。とにかくアイデア性に優れ、ええっ!というアイデアが多いのが特徴。
特に心理的な盲点をついた作品が多く、固定ファンが多いのも頷けます。
但し、余りに個性的過ぎて、トリックそれぞれに好き嫌いが出そうな感じはします。
ただ、嫌いなトリックであっても、重厚な語り口で、おおっ!と唸らされるのが、作者の非常にうまいところ。分かってみれば、な〜んだ!となるのですが、それが、陳腐に見えない、そこに本作の本質があります。
最近の国内外の作品に影響を与えたトリックが多く、正に古典と言えます。また、シャーロック・ホームズにも負けない、風貌等の雰囲気作りも見事の一語です。
尚、本作は、他ではまず、お目にかかれない恐ろしいまでのアイデアが光る傑作、「青の十字架」と収録しています。これは、史上に残る大傑作であり、推理小説の概念を超えた傑作です。
膨大な再版を重ねた、「教養」として、読んでおくべきシリーズと言えます。

