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アイテム詳細

安堂 信也

東京創元社

グループ:Book

ランキング:146696

価格:¥ 840

発売日:2006-06-27

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カスタマーレビュー

心理サスペンスの最高峰  (2008-11-20)
とにかくスゴイお話。
冒頭から映画を観ているかのようにドラマの中に吸い込まれていくような疑似体験。
舞台は高級ホテルから豪勢なクルーズヨット、そしてニューヨークの摩天楼と豪邸。
最後は拘置所・・・全部一人の女を追い込む密室にして罠なのです。
今から半世紀前の作品で今だったら成立しない事件だったし
もしかしたらこの事件ももっとヒロインが突っ込んでいけば
最悪の結末にはならなかったかもしれない。
それだけ穴のある完全犯罪なのだ。
しかし追い込まれたヒロインの心理状態すら計算していたであろう
真犯人の冷酷さと計算高さには感服します。
なんせ全世界の人間の心理すら操った男は小説の人物といえどこの真犯人くらいでしょう。

人間は単純な話ほど騙しやすいというお話。
この本を読んでからマスコミ報道の裏の真実や犯人の心理状況に興味を持ちました。

さすがに『名作』と言われるだけのことはある  (2008-09-23)
1956年リリース。カトリーヌ・アルレーの第2作。既に半世紀前の作品である。にもかかわらず登場人物の気質は、現代でも十分ありそうでまったく違和感がない。あわせてストーリーの展開が実にスムーズでテンポよく流れる。さすがに『名作』と言われることはあるな、と思った。

カトリーヌ・アルレーについては経歴が謎に包まれている。生年も1920年から35年と言われていて既にミステリアスだ。写真を見てもなかなかの美人で、彼女の小説に登場する『悪女』は彼女自身の経験が元ネタにあるのでは、と思えてしまう。それ故か、女性心理の描写は詳細で非常に精緻だ。でもそれ以上にその『悪女』に対峙する男性を描くのが非常に上手い。

読了後、ここに登場するアントン・コルフのすっかりファンになってしまった。彼の言葉、『悪者はいつも罰せられるものだと思っている。しかし、それは決定的なあやまりですな。悪者は、何かに夢中になったり、ばかだったりしないかぎり、いつでも成功する。その証拠をお目にかけますよ』に、世の中にはびこる『悪』の根っこを見る思いがする。

で、基本的に打算的美人のスタンスというのは変わっていない、あるいは不変なのかもしれない。だから美人は失敗する。

究極のサディズム  (2007-12-31)
サディズム−といっても鞭やロウソクで肉体をいたぶる様な生易しいものではありません。 心胆寒からしめる衝撃のラストが待っています。 中盤の犯罪隠ぺい工作だけでも手に汗握る素晴らしいサスペンスだと思うのですが、驚異のどんでん返しが最後に待っています。 また主人公ヒルデガルトの心境はある年齢に達した人間なら誰でも共感できるものであるだけに、余計恐ろしい。 まったくうまい話にはご用心−。 内容はこれ以上書くわけにいきません。 とにかく読んでこの暗澹たる気持ちを味わってみてください。

カトリーヌ・アルレーの本はこれしか読んだことがないのですが、こういった系列の作品が多いそうです。 そして彼女、旦那さんとは別居中だのこと。 確かに亭主としては奥さんがこんな話ばかり考えているのではとても一緒に暮らすことはできないでしょう。 心中お察し申し上げます。

サスペンスがゼロ  (2007-12-15)
 よく知られた作品です。読んでいなかったので、手にとりましたが、失望しました。翻訳の文章は、こなれていないというか、すこし硬いようにおもいました。作者が修行時代の作品であるせいか、単なる説明でもってストーリーがすすんでいくので、登場人物にも場面にもリアリティが乏しい。
 悲劇の主人公、ヒルデガルデはなぜこうも無防備に、見知らぬ男に自分の人生を預けてしまうのか、作者はきちんと説明していない。ヒルデガルドがどういう女で、なにをおもっているのか、断定的に説明するだけで、読者が、彼女に感情移入して、その身の上を案じるように導く、そういう描き方ができていない。だから、サスペンスゼロになってしまう。
 富豪のリッチモンドの性格も類型的で三文小説並みです。どうやって財をなしたかについても、どうにでも書けるような説明だけで、説得力のないことおびただしい。
 はじめの40ページぐらいまで、コルフがヒルデガルデに計画をおしつける段階で、結末が読めてしまいます。おもしろい推理小説はどんなものか、古くなったとはいえ、ドイルを読めばおのずから明らかでしょう。

完全犯罪の罠  (2006-08-31)
作者の代表作。題名の「わらの女」は原語で「言う通りになる女=あやつり人形」の意。ヒロインの悪女ぶりと、完全犯罪の達成ということで評判となり、私が若い頃、「Yの悲劇」、「幻の女」等と共に、海外ミステリ・ベストテンの上位の常連だった。

物語はヒロインがある新聞広告を見たところから始まる。大富豪の付添人を求めているというのだ。ところが、それは広告を出した執事の策略で、応募したヒロインに大富豪を誘惑させ、結婚した後は彼を殺し、財産を乗っ取ろうと持ちかける。虚栄と打算に満ちたヒロインはそれに応じる。大富豪の性格を良く知る執事の主導の下、2人は綿密な計画を立てる。ヒロインは計画のまま冷徹な女を完璧に演じ(ほとんど地のままなのだが)、彼らの筋書き通りに事は運ぶのだが...。

完全犯罪は成立するのだが、作者はそこに"驚き"を仕掛けている。それにしても、女性の虚飾、自己本位性、冷酷さ等を描かせると女流作家は何てうまいのだろう。プロットの素晴らしさと共にそんな感想も抱かせる作品である。