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東京創元社
グループ:Book
ランキング:5934
価格:¥ 714
発売日:1994-03
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カスタマーレビュー ![]()
品格のある、透明感漂うミステリ風小説。
(2008-10-13)
女子大生である「私」の一人称で展開する日常。その語り口が見事な作品。
「私」は感心するぐらい、普通の真面目な女子大生。文学部に通い、真剣に勉強している。
その私が送る通常の日々が、生き生きと描かれる。
この辺りは、「推理小説」でなく、「推理文学」を書いたフィルポッツの「赤毛のレドメイン家」を彷彿とさせる。とにかく上品であり、自然なのである。ただ、もっと自然で、肩の力が抜けている。
その中で、ふとした疑問が現れる。それは、多くの場合、些細な謎であり、通常は、忘れ去り、二度と思い出すことはない。しかし、本シリーズは、そこに鮮やかな謎解きを見せる、博識の落語家を登場させ、人の不思議さや奥深さを語りかけてくれる。
ミステリーではあるが、文学に関する作者の造詣も相まって、しっかりと読ませ、しみじみとした趣きが味わえる、良作。
文学の勉強にさえ、なります。特に、「六の宮の姫君」がそうです。
永遠に続いて欲しい、新しい古典となったシリーズです。
男性にとって理想的な女性の目から見た日常
(2008-01-20)
この「私」シリーズはとても好きなのですが、どこに惹かれるかというと、
一人称で語られる日常の中にある、女子大生の視線や心の動きになんとなく
どきどきしてしまうところです。
おそらく、こんな女性は実在しないでしょう。読んでいると
男性を喜ばせることを意図した、作者の男性としての視線が
あちこちに感じられます。
男性にとって理想的な女性の心の中から日常を眺めるというのは、
なぜかとても心惹かれるものなんですよね。
以前、NHK で見た、少女の一人称で語られ、一人称の目線でカメラの視線が動く
テレビドラマでも同じようなものを感じました。
この、ちょっと内気そうで、世間知らずで、文学趣味の女の子の
心の中を、いつまでの読んでいたくなってしまう、というのが私の正直な感想です。
のんびりムード
(2007-12-31)
殺人レスの推理小説なので、内容はいたってのんびりとしている。
例えば、一つの作品では、喫茶店で女性が、紅茶に大量の砂糖を入れている。
この理由を推理するのだが、考えてみると、別に、どうという事ではないと思う。
どうという事のない事を推理するのが、本書の面白さだ。
探偵役は、落語家の円紫師匠で、この人の推理力は相当なものだ。
本書は、多くの作品を発表している著者の、デビュー作品集らしい。
本書は一般の推理小説の様に、一刻も早く先を読みたいというものではない。
のんびり、どっぷり浸る事が出来る。
温かさのあるミステリー♪
(2007-12-14)
幼稚園のクリスマス会のときに贈られた木馬。その木馬が夜中に消えた!
だが翌朝には木馬はちゃんと元の場所に!!誰が何のために?真相は、
思いやりにあふれたものだった。表題作を含む5編を収録。
日常の中にもちょっとした謎がある。主人公の女性と円紫師匠。この二人が
見事にその謎を解いていく。人の何気ない行動、何気ない言葉。でも、
じっくりと考察してみると、そこには思わぬ真実が隠されていることがある。
5編とも、構成力がすごいと思った。切ない話ややりきれない話もあるが、
どの話にもほのぼのとした温かさがあり、読み終えたあとほっとする気持ちに
なれるのが救いだった。殺人事件など起きないが、ミステリーを存分に味わう
ことのできる作品だった。
日常ミステリの最高傑作のシリーズ第一作
(2007-10-12)
北村薫の、この「円紫師匠とわたし」のシリーズは人が死なないミステリながら、謎解きの本格的な面白さと主人公が徐々に成長していく青春小説としても非常に完成度の高いシリーズ作品で、この後に続く「夜の蝉」や「秋の花」と同様に主人公の<わたし>が成長していく姿が連作短編集という形で描かれています。
シリーズ第一作の本書では、主人公は大学の一年生。
友達と楽しく学園生活を送る女子大生ですが、どちらかといえばわりと地味目、メイクもあまりしない、落語と読書が大好きな女の子です。こう書くと、魅力的でないように聞こえますが、実際には優しいし地に足がついているしきちんと家のこともするしといったある意味文系男子の理想的な女の子です。それだからこそ、ときに批評的に「人間っぽくない」なんて書かれたりもしますが、彼女が日常の謎を謎解きのお師匠さんになる落語家の「円紫」師匠と話しているのを聞くと全然そんなことはなく、人間の暖かいところも素晴らしいところも底意地の悪いところもしっかりと理解できる、ある意味、年齢以上に人をじっと見ている人間だということがわかります。
そして、その視線はあくまで優しくて柔らかくて、それだからファンは何度もこの本を読み返すのだと思います。
とはいえ、作中では主人公はまだ大学の一年生ということで、行動範囲も狭く、出会う謎も身近なものが多いです。派手な事件も、複雑な人間関係もそうありません。が、逆にそれだからこそ、そんな彼女が日常でであう小さな謎から大きな見事な解決が提示されるカタルシスは他の本格ミステリに勝るとも劣らないものがあります。むしろ、日常のちょっとした謎や、不可解ないたずらのような事件から、人間の本性が見えてくるような気にさえなって、人が死なない普通の人のミステリをもっと読みたいという気にさせます。
短編連作集という形式なので、電車通勤の合間やちよっとした時間に一遍ずつ読めます。
猟期殺人やシリアルキラーや異常者が大量に出てくるミステリに疲れたら、ほっとひといきこういうのもいいんではないでしょうか。かなりおすすめの一冊です。

