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新泉社
グループ:Book
ランキング:131290
価格:¥ 2,100
ポイント:21 pt
発売日:2003-03
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超先端研究者ならば参考になるかも
(2004-01-09)
岡潔(おか きよし)は高木貞治(1875-1960)と双璧をなす、日本の世界的数学者です。その業績は多変数解析函数論における3大問題、@クザンの問題、A近似の問題、Bハルトッグスの逆問題を解き、その過程での@上空移行の原理、A二つの函数を、積分方程式を解くことに帰着させることによって融合させる方法、B不特定イデアルの理論、の発見だと言われています。数学的な内容は私には皆目検討がつきませんが、天才数学者・岡潔の研究方法と研究生活、研究から教育への問題意識の移行については非常に興味深く読むことができます。
学生時代に際立って数学の能力があった訳ではない点や受験の失敗を経験している点で天才数学者の意外な一面を見た思いがします。また、当初、入学した工学部から理学、そして数学科への移籍は研究者が自身の研究分野を絞り込んでいく際に参考になります。
岡潔の研究方法は私たちには極めて奇異に写ります。彼は初期にはアインシュタインのようなインスピレーション型の研究方法を採っていましたが、その後、『情操型』と言われる方法に進化していきます。これは仏道修行や芭蕉の研究によって境地が深まった結果、余分なものが削ぎ落とされて、それまで見えなかったものが見えるようになる、ということのようです。これは研究方法としては相当異色で容易に理解できません。
また、岡は大学での講義さえ研究の邪魔と考え、財産を売り払い、極貧の中で研究に没頭します。この点も天才ゆえ世俗へ迎合できない苦しみという気がします。
研究者志望の人間でも、岡潔という天与の才を遺憾なく発揮した学者から何を学ぶか、は難しい問題です。それほどに突出した研究者です。現段階では理解できなくても研究の境地が高まるにつれて再度、手にする機会が巡ってくる本ではないかと思います。

