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アイテム詳細

中西 輝政
小谷 賢

千倉書房

グループ:Book

ランキング:142347

価格:¥ 3,465

ポイント:34 pt

発売日:2008-01

通常3〜5週間以内に発送

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カスタマーレビュー

情報史研究の記念碑的著作  (2008-05-25)
学術研究としての情報史研究を確立した論文集。批判もいろいろあると思うが、この著作によって、インテリジェンスを情報機関の文書などの一次史料や検証可能な二次文献に依拠して、あくまで公開情報に基づいて議論する土台が整ってきたといえる。史料状況によってどこまで実証性を突き詰められるかは国ごとに違うとは思うが、検証手法の洗練はこれからの課題と言えよう。本書の特徴として、例えば中国に関してあまり正面から取り上げられることのなかった史料や問題に取り組むなど、インテリジェンスに関して一貫して「真面目」な姿勢が貫かれている。「面白ければ何でもいい」と言わんばかりの昨今のインテリジェンス本とは大きく一線を画した著作である。時間の経過とともに評価の高まりの期待される著作であり、真面目にインテリジェンスの問題に取り組む意欲のある人にお勧めしたい一冊である。

英訳版を出したら海外の研究者はどう思うだろうか  (2008-01-30)
日本のインテリジェンス研究のレベルの低さを痛感できる一冊。日本人によって書かれた論文のほとんどが、海外の論文から適当につまんで並べたにすぎない内容です(ごくごく一部比較的良質なものも)。各章で各担当国情報機関の「形成過程」「歴史的経緯」「概観」を「検討する」といった具合ですが、新しい視点、事実の提示が一切なく(なので正確には学術論文と呼ぶには値しない)、文章も荒く読みやすさへの配慮に欠けています。参考文献が異常に少ないものもあります。また、その視点や解釈も突っ込みどころが満載で、例えば(といってもキリがないので細かい点には立ち入りませんが)第6章で解説しているフランスの対独インテリジェンスでは、その失敗の原因を政治体制とエリートのインテリジェンス・リテラシーとしているものの、本章が全面的に依拠した文献が述べているさらに複雑な要素(ドイツ戦力に対する、イギリス以上の過大評価、その原因や影響、宥和政策の不可避性など)は一切省いてえらく単純化してしまっています。各章の扱っているテーマでは、海外の一流の研究者が最先端の研究成果を踏まえつつ、一般読者にも分かりやすく読めるものを出しているので、その翻訳集の方が日本のインテリジェンス・リテラシーを高まる上で良かったのではないか、と思った次第です。本書に登場している第一線の海外の研究者には、同列の扱いに申し訳ない気もしてしまいました。

残念ながら・・・  (2007-12-22)
時代背景を無視してランダムに研究者がそれぞれの論文を記載し、学術本としてのみならず、一般的な読み物としてのバランスが悪い。それらは研究者のレベルの差が大きく左右し、それらを「まとめる章」が不足している影響からか。これらは編集の落ち度でもあろう。
そして、欧米からの有名な研究者が論文を寄稿していることは大いに評価されるべきかもしれないが、内容がとても解り難い。文章を読む上で、これらの問題は内容ではなく、翻訳の問題であると感じる。

「日本での先駆的な役割を担う」と自負している割には、非常に残念な内容であった。

情報史研究の礎石となるか  (2007-12-14)
  本書は副題が示すように、情報史から見た20世紀国際政治についての論文集である。さすがに学術研究を謳うだけあって、各章の参考文献、巻末の文献リストは充実しており、インテリジェンス・ヒストリーの本格的なテキストといえる。
  執筆陣は小谷賢氏をはじめとする若手研究者とイギリス人研究者の手によるものであり、その内容は、外交史が外交文書に依拠するのと同様に、政府の情報文書に基づいて書き進められている。間違っても「私のCIAの友人によれば〜」といったトンデモ記述や、国籍不明の超A級スナイパーは登場しないので安心して読める。また中西輝政氏による序章は、氏のケンブリッジ時代の邂逅であり、なかなか味わい深い。
  ただ問題は既存の学問にこの情報史という分野をどのように位置付けていくかであろう。もはや「インテリジェンス」の観点が全く抜け落ちた軍事・外交史研究などは論外であろうが、「情報」の側面をあまり強調しすぎるのも疑問であるし、確固とした研究手法も必要になってくるだろう。
  これからそういった議論も進めていくべきであるが、日本語で初学者用に書かれたテキストの発刊自体は、エポックメイキングな出来事であると言える。
  
  元外交官やジャーナリストの書いた初心者向け啓発本に飽きてきた人や、イギリスの情報研究に興味のある人には読み応えのある1冊だ。