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アイテム詳細

安岡 正篤

竹井出版

グループ:Book

ランキング:141284

価格:¥ 1,575

ポイント:15 pt

発売日:1990-02

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カスタマーレビュー

冥々なる法則  (2008-05-19)
陰隲録は、明(みん)の時代に、著された書物です。安易な宿命観に陥らずに、自ら正しく運命を切りひらいて行くべく、謙虚に真剣に生きよ・・・というような本です。原文(漢文の読み下し)と、安岡氏の解説が交互する構成となっていますので、読みやすいです。「立命の書」と銘打たれているように、自らの生きる道を立てていくための哲学であり、「峻厳な清涼さ」とでもいうべきものがあります。

陰隲録とはこういう内容  (2008-04-14)
 貧しかった袁了凡は生計を立てるべく医師になる勉強をしていたが、ある日、訪ねて来た老翁が「君は科挙の学に進む運命だ。どうして勉強しないのか」と言う。そして、袁は老翁の修めた「皇極経世」の理法で身の回りを占ってもらうと全てその通りだったので強く感じ入り、中央の高級官僚を目指すべく一念発起した。すると、占示の通り、最初の県・府・道の各試験に言われた番位で合格してしまう。
 それならと、再び老翁にその後の生涯を占ってもらうと、本試験には禄米が幾らの時に何番で合格し、いつ・どういう出世をし、53歳で天寿を全うし、子供には恵まれないことが示された。そして、またしてもことごとくその通りに物事が進んで行った。そこで、袁は自分の人生はもう定まっていると諦観し、宿命論に陥って行ってしまう。
 長じて袁は南京に雲谷禅師を訪ねた。三昼夜 心を動かさず静座する袁に禅師は驚き「あなたに妄念を一つも見ないのは如何なるわけか」と尋ねた。袁はしかじかの経緯から宿命を信ずるようになったので妄想を起こすことがないと告白。すると、雲谷禅師はガラリと軽蔑の態に。袁が理由を問うと、「お前さんは20年この方、他人から占定されて少しも変化しなかったというのは凡人の証拠だ」と。袁は「本当の運命とは我より立つる立命でなければならぬ」という道理を懇々と教えられる。袁は大悟して生まれ変わった。
 袁の立命とは、善悪の基準を書いた功過格に従って、良事を行えば+1、悪事を行えば−1のように記録し、差し引きで三千の陰徳を積むことで子供を授かるべく、さらに、一万で科挙の本試験に合格すべく志を立て、天に願い、ひたすら努めて実行する、というもの。
 ともかく、それ以後は老翁に占定されたことが外れて行き、本試験には占示より上のトップで合格し、授からないと言われた子供が生まれ、74年の生涯を送る、ということになったのだった。

 この本の安岡 正篤氏は著作でも講演でもとにかく立命の話が好きだった。もう“立命居士”。そこでよく引用されたのがこの話。

古典に学ぶ人生哲学の王道  (2007-01-28)
 本書は、「陰隲録」を仮名交じり文(?)と現代語訳+解説
というパターンで展開されています。(古典や漢文に慣れて
いないと読み進めるのに少しストレスを感じるかもしれません。)

 恥ずかしながら、古典を手に取るということは
めったにありませんが本書を読むと改めて古典には、
人生哲学や人間というものに対する変わらない王道や
本質が書き残されているのを改めて実感させられます。
中途半端な自己啓発本や人生哲学書よりは、遥かに強力
だと思います。

 但し、安岡氏の書籍を始めて読む方には、本書は
あまりおすすめしません。解説書よりも安岡氏を
感じられるものの方が良いかと思います。

 それにしてもやはり、謙虚ありきなのですね。

若年者にこそ読んでほしいが・・・  (2006-12-27)
安岡氏は実践重視を説く陽明学の大家なだけあって、
著作はどの作品も内容の奥深さの割に平易で読みやすい。

本書は立命、つまり「志しを立てる」ことの効用を詳細に説く。
わたし自身、本書によって人生を、つまり命を立てた人間なのだが、
その効験たるや、昨今の粗雑な啓発書などとはまるで比べものにならない。
初めて読んだとき、心の中に筆舌に尽くしがたい燃えるような思いが湧きおこり、
一冊をなかなか読み終わることができなかった。
当然、その後の毎日の充実度といったら、至福の一言だ。

以後、現代人特有の「何をしたらよいのかわからない」と悩む青年たちに
本書を薦めてきた。
読んだ人間とそうでない人間との差は、目を疑うほどである。
すべての若年者に読んでほしい一冊だが、題名で難解なものと尻込みしてしまう者が
後をたたないのは残念なことである。

畏れる。  (2005-12-30)
 安岡本はいつ読んでもちゃんとした生き方(謙虚・陰徳・積善・根柢の把握などなど)をどこまでもやり遂げなければ、本当に恥ずかしいことだと改めて思い知らされる。
 学問の奥深さにも圧倒される。
 本書に格別目新しくはないが次のような言葉がある。
 「感じたり、経験したりしたことは、決して無くなってしまうものではなく、物質が不滅であるがごとく不滅であって、みな意識の深層に沈潜しておる。何かの拍子にふと意識に浮かんでくる」
 この、ある意味で平凡な言葉が、しみじみと、実に重たくよく伝わってくる。
 読むべき本である。