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北方 謙三

角川春樹事務所

グループ:Book

ランキング:3300

価格:¥ 600

発売日:2002-06

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カスタマーレビュー

すべての登場人物が主人公であるということ  (2008-10-19)
通常の歴史小説というのは主人公が決まっているが、三国志には特定の主人公はいない。波乱の時代を駆け抜けていった男も女も、みなそれぞれに生き様があり、個性がある。

そこに、RPGの王様である理由があり、何度も小説や漫画として描かれる理由もあるのだろう。自分がどの登場人物にに感情移入できるか、それこそがこの物語の読み方なのかもしれない。

北方さんの三国志では、そういう意味で公平な書き方がされている。善VS悪の構図はない。

圧倒的な迫力の戦闘シーンに、リアリティ感あふれる心理描写、まるで自分がそこにいるかのような気にさせられる。時には切なく、時には清々しく…。13巻の間に何度もそういった思いを抱かされる。

日本人に向けて問いかけられるかのような、王室の血の問題。400年の漢王室の血は特殊でありそれが1000年続けば神聖なものとなる…、堕落した血は腐っており、覇者によって清められる…。王覇の思想対立にあなたはどのような感想を持つのだろうか。

着地点  (2008-04-11)
三国志モノでは、「どこをもって完結とするか」というのがなかなか重要な課題だったりします。劉備や曹操など、人物に焦点をあてた作品ならばその人の死で完結というのが明白なので予測しやすいし安心感もあると思うのですが、歴史の流れそのものにスポットをあてた、いわゆる正史ベースの作品になるとそうは行きません。
「ああ、あそこで終わっておけば名作だったのに」
と、読み進めるにつれ暗鬱たる気分になる作品も多いです。

他の方もレビューで書いておられますし、ネタばれにもあたらないと思うので書きますが、本書は諸葛孔明の死で完結します。その後の政治戦メインの展開は匂わせる程度で、当然その後に活躍する武将たちは登場せずに終わります。
ここで終わりか、と思う反面、納得もできます。

名医の弟子と、袁術の娘、そして父となった馬超という、平和を求めて山中に生活を移した人物が死した孔明を振り返るシーンは、「三国志」という壮大な物語の着地点として北方謙三が出した答えとしては、ひとつの究極の形であると言えるのではないでしょうか。

名著です。

勝者  (2008-02-09)
もし孔明がいなかったら三国志と言うのは劉備の死で終焉を告げただろう。いや、三国志という名になるのかさえ疑問である。

そもそも一般に語られる三国志は大半が三国以前の時代の事である。群雄割拠の時代184?〜220年が前半。221年〜蜀滅亡までが後半。さてどっちが人気・知名度があるのか。ほぼ前半である。三国志と言うのは、三国時代だけの話ではないと、まず理解して欲しい。

最終巻だが、主に諸葛亮と司馬懿の決戦が描かれている。漢王室復興を共に唱えた、劉備・関羽・張飛・趙雲らの志を一人で背負い、ただただ魏に侵攻していく諸葛亮。今は既に天下統一の意志の亡き魏国の中で、飛躍の時を掴むべく諸葛亮の侵攻を阻止する司馬懿。両者は五丈原の地で決戦を迎える。

北方三国志は諸葛亮の死直後、馬超により壮大な物語の幕が降ろされている。これに対し批判も出ているが、僕は北方先生(敬意を込めて)らしいとおもう。諸葛亮死後の三国時代は、もはや、これぞ漢の生き様と言える者はいない。三国で良しとも思える魏・呉・蜀の静かさ。それが、やがて隙を突き、あっという間に蜀滅亡。魏も司馬懿の子孫に乗っ取られ、呉も攻められチャンチャンと。このような物語を書くような人ではない。最初に言ったように、孔明の死で人々に語られる三国志は終わりなのだと思う。

では、三国志の勝者は誰だったのか?普通の歴史が教えてくれるのは司馬炎だ(たしか)。ただそれは本当の勝者とは言えないと思う。いや、三国志に勝者は要らないと思うようになった。曹操・劉備・孫策・周喩・呂布・袁召等の漢達が戦い、生き様を見せた。皆夢半ばにして散ったが、人々の記憶には1800年を過ぎた今でも残り続けている。それで良いじゃないか。

乱世の星  (2007-08-04)
 孔明にはいつも何かが足りなかった。
 それは、兵糧であったり、優れた人材であったり、運であったりした。司馬懿は、紙一重の差で、運に恵まれてきた。その宿運は、五丈原でも変わらない。
 五丈原では、今度こそ蜀が魏に勝てるはずであった。長安を奪り、洛陽を突き、その先には確かに天下が見えていた。

 足りなかったのは一つだけ。兵糧でも人材でもなく、唯一つだけ。
 孔明の命。
 それだけだった。

 戦場に消えた孔明の命の灯火。同時に志も幽夢となった。天下は魔性の夢。
 北方三国志は、魔性の志を抱いた男たちの壮大な叙事詩でした。

 曹操、周瑜、関羽、張飛、趙雲、劉備、そして孔明。幾重にもかさなって、乱世に瞬いた星々。今はもう、誰もいない。

哭け!漢たちよ!  (2006-12-04)
ラストです。ここまで頑張ってきた漢たちの夢が散っていく・・・これが哭かずにいられようか!
ちなみに他の方がラストで何故蜀滅亡までを書かないのかといってましたが、たしかに読んでみたいですよね。蜀が滅亡するギリギリまで。ただ、五丈原で孔明が死んだことで事実上蜀は滅亡したようなものですからね。あえて蜀滅亡まで書かなかったのかもしれないです。続・三国志とか出ないかなぁ・・・。