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明徳出版社
グループ:Book
ランキング:480153
価格:¥ 2,548
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発売日:1995-10
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愚昧によって壊滅する文明社会とその強引な再建
(2005-01-15)
原題は"The Shape of Thing to Come"、1933年に出版されたウェルズの代表的予言小説。この版は上下巻に分かれているが、上巻の前半部は、ウェルズが実際に生きた時代(つまり1930年代初頭以前)の世界情勢の分析に充てられている。力と物質の征服に比して未熟な儘に留まっている、第一次世界大戦を中心とした人類の精神面に於ける愚かしさについての舌鋒は鋭く明解で、今尚得るものの多い洞察に満ちている。"The Work, Wealth and Happiness of Mankind"(1931)(『現代世界文明の展望』、鹿島研究出版会、1967)等を書いた後の所為か経済的側面、特に資本主義の暴走についての記述が目立つ。
本書は、2106年に書かれた歴史書を、現代(20世紀初頭)のレーヴン博士と云う人物が夢に見てそれを書き留めたと云う体裁をとっており、基本的な調子は既に輝かしい偉業の数々を達成した未来世界から過去を裁断すると云うもので、非常に中立性には欠ける「歴史書」ではあるが、その分何を批判しているかがハッキリしていて解り易い。但し普通の小説とは形式が大きく異なり、飽く迄未来の歴史書、或いは予言の書であるので、読破するにはそれ相応の歴史的知識と根気が必要になるだろう。
訳者の吉岡氏は翻訳の専門家ではない。元々戦後のシベリア抑留中にタバコの包紙に書いて2年掛かりで翻訳したものの、帰国時に没収され、後に銀行家として勤務する傍ら数年越しで訳業を果されたそうである。或る種の翻訳に文化人による抵抗・解放運動としての意味がまだまだ残っていた時代の話で、こうした草の根の啓蒙活動には正直頭が下がる思いがする。しかし訳文の方は完璧とは言い難く、原文を意識し過ぎている為かてにをはや句読点の付け方におかしなクセがあって文意の読み取り難い箇所が多いのが残念である。誤植の類いが多いのも気になる。

